場合の数・確率系 実践演習

正多面体の色の塗り分け【双対構造の利用】【2016年度 久留米大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

正多面体の色の塗り分け問題です。

よくあるのは立方体の色の塗り分けですが、本問は少しそれを発展させて正八面体の塗り分けを考えてみます。

(以下ネタバレ注意)

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円順列の基本

円順列(回転による一致)を考える際の基本は

誰か一人の眼から見て、他がどうなっているか

ということです。

例えば、遊園地にあるコーヒーカップというアトラクションがありますね。

あれに、お父さん、お母さん、息子の3人が乗ると思ってください。

クルクル回っているからと言って座り方が変わったと思いますか?

座り方の違いを感じるのは、例えばお父さんでしょう。

お父さんの眼から見て

  • 右手側にお母さん、左手側に息子
  • 右手側に息子、左手側にお母さん

であれば、違いを感じることと思います。

一般に異なる \(n\) 個の円順列は

\((n-1)!\)通り

と習うでしょうが、この \(-1\) の意味は、まさに

誰か一人の眼から見て、残りの \(n-1\) 個がどうなっているかが問題である

ということの現れです。

よくある疑問や質問

色の塗り分け問題の解答などに

「赤を上面として固定する」

などという記述や解答があって、

「なんで、赤はここでいいんですか?」

などという質問が来ます。

赤の眼から見て、他がどうなっているのかが問題であって、赤の場所など知ったこっちゃないというわけです。

本問において

(1) については、直接正八面体のまま考えても何とかなるでしょう。

頂点についての回転対称性はまだ目で追っていけるからです。

しかし、(2) , (3) についてが問題です。

面についての回転対称性は、正八面体のまま考えると少し骨が折れます。

このまま腕力で押し切ることもできるにはできますし、試験場であればそういう路線も致し方ないでしょう。

ここでは勉強のために一工夫する方法を考えてみます。

※【総括】の中で、正八面体のまま考える路線について少しだけ触れてあります。

双対構造の利用

のように、

  • 正六面体(立方体)の各面の重心を結べば、正八面体ができる
  • 正八面体の各面の重心を結べば、正六面体(立方体)ができる

ということが言えます。

このとき、正六面体と正八面体は

双対 ( dual ) である

と言います。

ちなみに他の正多面体で言えば

  • 正四面体は自分自身と双対
  • 正十二面体と正二十面体は双対

です。

今回の応用例

(2) は正八面体の面に色を塗ると言っていますが、

立方体の頂点に色を塗る

として考えても同じことです。

正八面体と立方体のどちらが考えやすいかと言えば、そりゃ立方体でしょう。

そうなると、(2) は

(2)

立方体の2つの頂点を赤に、残りの頂点を白に塗るとき、塗り方は何通りあるか。

という問題になりますし、(3) は

(3)

立方体の3つの頂点を赤に、残りの頂点を白に塗るとき、塗り方は何通りあるか。

という問題になります。

こうなってくると、もはや色の塗り分けと言うよりは

相対的に見た2点(3点)の位置関係のパターン

を追っていくことになるでしょう。

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