実践演習 整数系

√nの小数部分の評価【小数首位について】【2019年度 名古屋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

\(\sqrt{n}=*.0***\cdots\) というタイプの数になるような \(n\) について考えよという問題です。

\(\sqrt{2}=1.4142\cdots\) ,  \(\sqrt{3}=1.732\cdots\)

と近似値を覚えている範囲は限界があるでしょうから、どこかで論理的に導出する必要が出てきます。

難易度の感じ方に差がある問題だと思います。

この年の名古屋大学の受験生からは本問の出来は微妙だったという声がよく聞こえてきました。

ただ、そう言っていた受験生の多くは受かっていたので、合否に影響はなかったのかもしれません。

(以下ネタバレ注意)

 

 

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与えられた条件を数式で表現する

題意の条件を式的に翻訳すると

\(0.01 \leq \sqrt{n}\) の小数部分 \(\lt 0.1\)

すなわち、\([\sqrt{n}]\) を \(\sqrt{n}\) の整数部分とすると

\(10^{-2} \leq \sqrt{n}-[\sqrt{n}] \lt 10^{-1}\)

ということになります。

2乗して整理すると

\([\sqrt{n}]^{2}+\displaystyle \frac{1}{50}[\sqrt{n}]+\displaystyle \frac{1}{10000} \leq n \lt [\sqrt{n}]^{2}+\displaystyle \frac{1}{5}[\sqrt{n}]+\displaystyle \frac{1}{100}\)

です。

個人差があると思いますが、自分はガウス記号は目がチカチカして見づらいので、\([\sqrt{n}]=k\) と名前を付けます。

すると

\(k^{2}+\displaystyle \frac{1}{50}k+\displaystyle \frac{1}{10000} \leq n \lt k^{2}+\displaystyle \frac{1}{5}k+\displaystyle \frac{1}{100}\)

ということになります。

実験してみる

\(k=1\) としてみると

\(1+\displaystyle \frac{1}{50}+\displaystyle \frac{1}{10000} \leq n \lt 1+\displaystyle \frac{1}{5}+\frac{1}{100}\)

となり、これを満たす整数 \(n\) はありません。

\(k=2\) としてみると

\(4+\displaystyle \frac{1}{25}+\displaystyle \frac{1}{10000} \leq n \lt 4+\displaystyle \frac{2}{5}+\frac{1}{100}\)

となり、これを満たす整数 \(n\) はありません。

この実験から

\(k^{2}+\)(ゴミ) \(\leq n \lt k^{2}+\)(ゴミ)

だと間に挟まれる整数 \(n\) が存在できないことが分かります。

そのため、ある程度の「幅」が必要になってきます。

そうなってくると、目につくのは

\(k^{2}+\displaystyle \frac{1}{50}k+\displaystyle \frac{1}{10000} \leq n \lt k^{2}+\displaystyle \frac{1}{5}k+\displaystyle \frac{1}{100}\)

の最右辺の \(\displaystyle \frac{1}{5}k\) が整数となるような \(k=5\) という値です。

試しに \(k=5\) を代入してみると

\(25+\displaystyle \frac{1}{10}+\displaystyle \frac{1}{10000} \leq n \lt 26+\displaystyle \frac{1}{100}\)

となり、これを満たす整数 \(n\) として \(n=26\) が見つかり、これが題意を満たす最初の \(n\) ということになります。

この後も同じ要領で実験を粘っていくと

実験しているうちに 10 番目の \(n\) が求まってしまうと思います。

もう少しアクセルを踏むとしたら

(3)  このような \(n\) を小さいものから順に並べたときに 300 番目にくるものを求めよ。

ぐらいでしょうか。

【総括】の中で計算していますので、見る前に考えてみてください。

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