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実践演習 方程式・不等式・関数系

対称式についての論証【基本対称式の符号】【2007年度 愛媛大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

基本対称式についての符号についての論証問題です。

符号だけでなく、整数問題の要素も含めたオチまである欲張りなセットです。

キレイな結果とは裏腹に、導出過程はそれなりに紆余曲折があると思います。

本問は「逆なら楽勝で言えるのにシリーズ」の一つと言ってよく、京大が好みそうな感じですね。

(以下ネタバレ注意)

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本問の出どころ

本問の出どころは恐らく2文字の基本対称式についての以下の性質でしょう。

2文字の基本対称式についての性質

x=a+by=ab とするとき

x \gt 0 \ , \ y \gt 0 \ \Leftrightarrow  \ a \gt 0 \ , \ b \gt 0

証明

a \gt 0 \ , \ b \gt 0 \ \Rightarrow  \ x \gt 0 \ , \ y \gt 0

は明らかなので、

x \gt 0 \ , \ y \gt 0 \ \Rightarrow  \ a \gt 0 \ , \ b \gt 0

を証明する。

y \gt 0 なので

③:a \gt 0 かつ b \gt 0

④:a \lt 0 かつ b \lt 0

のいずれかが成り立つが、④が成り立つと仮定すると x \gt 0 であることに矛盾する。

本問は

「2文字の基本対称式についての性質を、3文字に拡張して考えてみてください」

という趣旨で作られたのだと思います。

(1) について

x \gt 0 という条件から a+b+c \gt 0 ,  すなわち

c \gt -(a+b) \cdots

という結果となります。

与えられた条件の中で c だけ仲間外れにされているという感じですから、

y=ab+c(a+b)

c で括ってやり、① を用いて c を消してやることを考えます。

すると y \lt ab-(a+b)^{2} , すなわち

y \lt -(a^{2}+ab+b^{2})

となるため、y \lt 0 という結論を得ることができます。

(2) について

a \gt 0 \ , \ b \gt 0 \ , \ c \gt 0 \Rightarrow  x \gt 0 \ , \ y \gt 0 \ , \ z \gt 0

はほぼ明らかですから、結局は

x \gt 0 \ , \ y \gt 0 \ , \ z \gt 0 \Rightarrow  a \gt 0 \ , \ b \gt 0 \ , \ c \gt 0

を証明することになります。

その際に (1) が強力に効いてきます。

今回、z \gt 0 であることから

①:abc  が全て正

②:2つが負で、1つが正

のいずれかが言えることになります。

① であることが言いたいので、② を否定すれば解決します。

仮に a \lt 0b \lt 0 としてみると、x \gt 0 であることを併せれば、(1) から y \lt 0 ということになり、

x \gt 0 \ , \ y \gt 0 \ , \ z \gt 0 ということに矛盾します。

もちろん、文字の対称性から

b \lt 0c \lt 0

c \lt 0a \lt 0

と仮定しても、同様に矛盾します。

(3) について

(2) では不等号でしたが、それを合同式として扱うだけだと気が付けば、手が進むはずです。

すなわち、法を 3 として

x \equiv 0 \ , \ y \equiv 0 \ , \ z \equiv 0 \Leftrightarrow  a \equiv 0 \ , \ b \equiv 0 \ , \ c \equiv 0

を目指します。

これも (2) 同様

a \equiv 0 \ , \ b \equiv 0 \ , \ c \equiv 0 \Rightarrow  x \equiv 0 \ , \ y \equiv 0 \ , \ z \equiv 0

はほぼ明らかですから

x \equiv 0 \ , \ y \equiv 0 \ , \ z \equiv 0 \Rightarrow  a \equiv 0 \ , \ b \equiv 0 \ , \ c \equiv 0

ということが言えれば解決です。

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