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実践演習 幾何・ベクトル系

2乗和と1乗和の解法選択【1993年度 一橋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

単位円上の4点 \mathrm{A}\mathrm{B}\mathrm{C}\mathrm{P} について

  • {\mathrm{PA}}^{2}+{\mathrm{PB}}^{2}+{\mathrm{PC}}^{2}
  • {\mathrm{PA}}+{\mathrm{PB}}+{\mathrm{PC}}

という2乗和、1乗和について扱う問題です。

2乗和、1乗和によって取りたくなる解法が異なってくると思います。

本問はその感覚を少しでも身につけてもらうことを目的とします。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

図形の問題を扱うにあたっては

  • 幾何
  • 座標
  • ベクトル

という分野が考えられます。

このうち、

距離の2乗

というものがモロに前面に出る分野としては

  • 座標
  • ベクトル

という2分野でしょう。

路線1:座標

単位円上の点 \mathrm{B}\mathrm{C}

\mathrm{B}(\cos{\alpha} \ , \ \sin{\alpha})\mathrm{C}(\cos{\beta} \ , \ \sin{\beta})

と設定し、動点 \mathrm{P}

\mathrm{P}(\cos{\theta} \ , \ \sin{\theta})

とおくことにします。

詳しい計算過程は省略しますが

{\mathrm{PA}}^{2}+{\mathrm{PB}}^{2}+{\mathrm{PC}}^{2}=6-2\{(1+\cos{\alpha}+\cos{\beta})\cos{\theta}+(\sin{\alpha}+\sin{\beta})\sin{\theta}\}

となります。

これが、任意の \theta に対して一定値となるように仕組むことになるわけです。

\theta によらない一定値としようと思ったら、

  • \cos{\theta}\sin{\theta} の係数が 0

となるしかなさそうです。

\cos{\theta}\sin{\theta} の値は従属であることを考えると、安易に係数 0 としてよいかについて自明とは言い難いため、解答では

補題

実数 abc に対して

  • a\sin{\theta}+b\cos{\theta}=c が任意の \theta に対して成立するならば、a=b=c=0

という補題を証明することで、堂々と使うことにします。

この補題の証明については

全称命題

として捌いていくのが第一感です。

全称命題については

テーマ別演習:全称命題

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を参考にしてください。

路線2:ベクトル

通常、2次元の話では

  • 1つの始点、2つの基底(主役ベクトル)

というセオリーに従い、2本の主役ベクトル(基底)を設定し、その基底を用いてその他の登場人物を表そうという態度が基本です。

ただ、本問のように、外心が絡んでくると外心 \mathrm{O} を始点にとり、

  • \overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec{a}\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec{b}\overrightarrow{\mathrm{OC}}=\vec{c}\overrightarrow{\mathrm{OP}}=\vec{p}

などとおいて話を進めることが多いです。

この路線は【戦略3】【解3】で扱っています。

(2) について

今度は1乗和を扱うことになります。

そうなると、通常座標やベクトルを経由して距離を求めると

\sqrt{ \  \  \  \ } が絡む

ということになり、積極的にとりたい方針ではありません。

本問は座標でやっても、うまく半角公式を用いることにより、\sqrt{ \  \  \  \ } を外すことができます。

そこで (2) は幾何の方針で行くと、比較的スムーズに捌けると思います。

ただ、幾何は見たまんまなので、

見えればいいけどね

ということになりやすい路線です。

幾何の路線は【解4】【解5】で扱っています。

分野の選択について

幾何・座標・ベクトルの解法選択について、色々考えられる問題については

参考幾何・座標・ベクトル【別解の宝庫】【2002年度 京都大学】

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なども参考にしてみてください。

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