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\(2^{x}=x^{2}\) という指数関数に関する方程式の有理数解を求めるという分かりやすい題意です。
その過程で色々教訓になることを含んでいますので、本問を題材としてその教訓について見ていきたいと思います。
丁寧な誘導がついていますから、問題を解くこと自体は無理がないレベルで入試問題としては標準的な問題です。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 微分するだけと言ってしまえばそれまでです。 \(a\) を \(1\) 以外の正の定数とするとき \((a^{x})'=a^{x} \log{a}\) という一般の指数関数の微分についてはきちんと確認しましょう。 \(e^{x}\) しか微分できない受験生がいますが、難関大受験生にあってはそのようなことはあってはならないことです。 (1) の \(f(x)=\displaystyle \frac{2^{x}}{x^{2}}\) という関数の設定を考えた流れで、与えられた方程式を \(\displaystyle \frac{2^{x}}{x^{2}}=1\) と見たくならない理由がありません。 もちろん、元々の方程式 \(2^{x}=x^{2}\) は \(x=0\) を解に持ちませんから、上のように同値変形できるわけです。 そうなると、\(y=f(x)\) と \(y=1\) のグラフが、相異なる \(3\) 個の共有点をもつことを示すことになります。 \(f'(x)\) の符号については (1) で把握しているに等しい状況ですから、増減表を得ることも大した労力ではありません。 そのあたりの細々とした部分は【解答】で確認してくれればと思いますが、今回の \(y=f(x)\) のグラフの概形は のようになります。 そうなると、\(y=1\) という直線との位置関係としては という2パターンの可能性が考えられるわけです。 まぁ今回は証明問題なので、左のケースとなることを示すということで結論は分かっているのですが。 左のケースだということを言うために、 \(x=2\) , \(x=4\) が \(f(x)=1\) の解である ということを利用してやります。 \(2^{2}=2^{2}\) は自明ですし、\(2^{4}=4^{2}\) もほぼ自明です。 なので、\(x \gt 0\) の範囲で 2 つの共有点をもつことは確定で、左のケースということになるわけです。 この2解に辿り着く早さは個人差があるでしょう。 秒で気が付く(最初から気づいている)人もいるでしょう。 愚直に という態度で見つけたという人もいるでしょう。 いずれにせよこの事実は後の (3) でも利用します。 \(x=2\) , \(x=4\) が \(f(x)=1\) の解である ということに気が付かなかった場合、増減表から得られる極小値 \(f(\displaystyle \frac{2}{\log{2}})\) について \(f(\displaystyle \frac{2}{\log{2}}) \lt 1\) を示すことになるでしょう。 このあたりは【総括】のなかで触れておきました。 敢えて別解としなかったのは、先ほども少し述べましたが \(x=2\) , \(x=4\) が \(f(x)=1\) の解である という事実は (3) でも利用するため、完答するためには遅かれ早かれこの事実に気が付いている必要があるからです。 先ほど少しフライングして話しましたが、3つの解のうち \(x=2\) , \(x=4\) と、早々と有理数解が 2つ見つかってしまいました。 残る一つは という(2) のグラフから負の解です。 そこで、こいつが有理数解かどうかを調べるために、\(p\) , \(q\) を互いに素な正の整数として \(x=-\displaystyle \frac{p}{q}\) などと解を設定します。 つまり、 \(2^{-\frac{p}{q}}=(-\displaystyle \frac{p}{q})^{2}\) を満たす \(p\) , \(q\) を求めに行く態度で進めるわけです。 求まればいいですし、何かの拍子で矛盾でも起きようものなら結果的に背理法が完成し、負の範囲に有理数解がないことが示されるわけです。 今回の \(2^{x}=x^{2}\) という方程式を考えるにあたり \(y=2^{x}\) と \(y=x^{2}\) のグラフの共有点を直接考えてはダメなのか という疑問をもった人もいると思います。 確かに、\(y=2^{x}\) のグラフも、\(y=x^{2}\) のグラフも微分なしでかける有名人です。 ただ、 のようなグラフをかいてしまうと、 共有点は2個!! として、事故を起こしてしまいます。 実際のところ のようになっているわけです。 このように ということは肝に銘じておきましょう。 要するに、記述式の答案においては 「あなたの絵が下手なだけで、実はこうなっているかもしれないよ」 という指摘に耐えられるかどうかということを意識しなければならないわけです。 なので、曲線と曲線のまま考えるのではなく、 曲線と直線 で考えるわけです。 直線ならば絵のうまい下手は関係ありません。 曲がっていない(紛れがない)図形ですから。 以上が本問を通じた大事な教訓です。(1) について
(2) について
自明な解に気が付かなかった場合
(3) について
大事な補足