実数解の個数【色々見えるn次方程式】【1994年度 名古屋大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 方程式の実数解の個数を数えるというテーマとしてはよくある話題です。 ただなまじ色々見える分、方針決定が難しく、押し通すにしてもそれなりに腕力が必要なので、各方針の引き際を見極めるのが難しいと思います。 試験場ではこういった 色々見えるものがあり、うまくやろうと試みたが結局うまくいかず、愚直にゴリゴリ進めるのが最善だった という類の問題が厄介です。 特に本問は「作為めいた匂いのする設定」が見た目から漂ってきます。 (以下ネタバレ注意) &nbs ...
複素数平面上の4点が同一円周上にある条件【2001年度 名古屋大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 複素数平面上の4点が同一円周上にあるための条件を考えるという問題で、この分野の有名事実の一つです。 幾何的な見方と、複素数を道具として使いこなす力とがバランスよく盛り込まれています。 問題のために作られた問題という作為めいたものはなく、どちらかというと古典的な内容です。 本問そのものが出題されるかどうかという目先の問題ではなく、本問に含まれる教訓を吸収してやるという意気込みで取り ...
ベータ関数【6分の1公式などの拡張】【2015年度 横浜市立大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 通称 \(\displaystyle \frac{1}{6}\) 公式や \(\displaystyle \frac{1}{12}\) 公式と呼ばれる積分公式の一般化であるオイラーの第一種積分、ベータ関数がバックボーンにある問題を扱います。 これらの名前は入試的には無理に覚えなくてもいいですが、シナリオについては難関大受験生としては一度は経験しておきたいです。 入試段階では「こんな話題だな」という頭のラベル付けとして覚えるぐらいの感覚で十分で ...
リプシッツ連続【全称命題とその運用】【2004年度 信州大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 必ず成り立つ不等式を文字通り絶対不等式と言います。 本問はある程度の演習をこなしている人からすると、あるものがインスピレーションされると思います。 そして、本問の \(k\) の最小値について予測できてしまうとも思います。 ただし、細かな部分まで詰めていこうとすると結構ウルサイ問題です。 採点基準にもよりますが、自分の手ごたえと実際の得点率にはギャップがある問題かもしれません。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 形的 ...
天井関数と床関数(ガウス記号)に関する極限【2000年度 大阪大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ガウス記号(床関数)が絡んだ極限と、その親戚(兄弟)のような天井関数が絡んだ極限について扱います。 指導者の間ではこんな言葉があります。 絶対値を絡めると平均点が5点下がる ガウス記号を絡めると平均点が10点下がる もちろん「何点満点なんだよ」とかどうでもいい突っ込みはやめてくださいね(笑) 要するに多くの受験生が苦手意識をもつ話題だということです。 例えばですが、 ...
3次方程式の解の極限【2009年度 兵庫県立大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3次方程式の解の極限について扱う問題ですが、口で言う以上の様々なテーマや教訓を含んでいます。 極限についてや、方程式の扱いについての実戦問題として得るものが多い良問だと思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について これについては基本的な問題で、 ①:単調性と連続性 ②:代入して正となる値の存在 ③:代入して負となる値 の3点を確認します。 ②と③については今回は極限について考えれば十分 ...
数値評価 第5講【log2の評価】【2007年度 東京大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「数値評価」シリーズの第5弾です。 このシリーズの一覧はこちら 今回は \(\log{2}\) という自然対数の評価です。 (1) という誘導設問がありますが、単純に使うと失敗します。 恐らくほとんどの人が最初失敗して、そこからリカバリーしきれるかどうかという勝負になるでしょう。 不等式の精度を高めるために(誤差を小さくするために)どのようにすべきか、という部分に脳みそをつかっていきたいところです。 (以下ネタバレ注意) + ク ...
垂心と逆数【2009年度 岡山大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) というシンプルな直角双曲線上の3点によってできる三角形の垂心もこの \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) 上にあるというキレイな性質について確かめてみようという趣旨の問題です。 座標計算で解析的に進めて確かめる分にはそこまでの話ではありません。 ただ、幾何的に腑に落ちる説明をつけようと思うと深みに嵌まります。 ここでは、入試の基本事項をおさえつつ、垂心と ...