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三角形の面積比という話題から始まり、その面積比を与える2変数関数のとり得る値を考え、最後は整数問題に帰着させるという欲張りな問題構成になっています。
各分野に関する総合的な力が必要で、幾何の話題→関数の話題→整数の話題、と目線の移動も激しいです。
(1) を落とすと、それに連動して (2) , (3) も失ってしまう問題なので、(1) は慎重に確保したいところです。
のような角度 \theta を共有する2つの三角形 \triangle ABC と \triangle ADE に対して
\displaystyle \frac{\triangle ADE}{\triangle ABC}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{2} \cdot | \overrightarrow{ AD } | \cdot|\overrightarrow{ AE }|\cdot\sin{\theta} }{\displaystyle \frac{1}{2} \cdot | \overrightarrow{ AB } |\cdot |\overrightarrow{ AC }|\cdot\sin{\theta}} であることから
面積比=辺積比
\displaystyle \frac{\triangle ADE}{\triangle ABC}=\displaystyle \frac{ | \overrightarrow{ AD } | |\overrightarrow{ AE }| }{ | \overrightarrow{ AB } | |\overrightarrow{ AC }|}
ということが言え、面積比が「辺の積の比」と等しいことになります。
私は響きとダジャレで「面積比=辺積比」と呼んでいます。
上の図だと \overrightarrow{ AD }=s\overrightarrow{ AB } , \overrightarrow{ AE }=t\overrightarrow{ AC } なので
\displaystyle \frac{\triangle ADE}{\triangle ABC}=st
ということになります。
(1) は幾何的な方針も多々考えられますが、「面積比=辺積比」を用いて処理するのがミスしにくいかなと思います。
(2) は 2 路線あります。
今回の \displaystyle \frac{T}{S} は a , b についての2変数関数ですが、今回の2変数は
「独立2変数」
であり、a は a で、b は b で勝手に動きます。
1つ目の路線は「予選決勝法」(1文字を固定し、1文字ずつ動かす)
2つ目の路線は「変数を1カ所に集める」という方針です。
予選決勝法は独立2変数の扱いにおいては最有力候補なのですが、2つ目の路線である「変数を集める」という路線は狙えるのであれば分野を問わず狙っていきたい式変形の1つです。
(3) は (2) までできていれば極めて標準的な整数問題に帰着します。
トータルの難易度自体は標準です。ただし、試験場補正はかかりやすいかもしれません。