実践演習 整数系

3次方程式と整数解【誘導の活用】【2011年度 横浜国立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

3次方程式が整数解をもつための条件を考える問題です。

試験場補正も踏まえると、差が付くレベルだと思います。

(以下ネタバレ注意)

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(1) については問題ないと思います。

微分して \(f'(x)=3x^{2}-6x-4\) ですから \(f'(x)=0\) を考えれば

\(x=\displaystyle \frac{3\pm\sqrt{21}}{3}\)

を得ます。

(2) について

(1) の意味を考えると

3次方程式 \(f(x)=0\) が整数解をもつという一見整数問題分野の問題に見え、極値をとるときの \(x\) の値がどのように効いてくるのかが分かりづらいかもしれません。

グラフ的なアプローチを考えろというメッセージと受け止め、グラフを考えてみます。

3つの整数解を \(x_{1}\) ,  \(x_{2}\) ,  \(x_{3}\)  と設定すると「あれ?」と思いませんか?

\(x_{2}\) という整数が定数に挟まれています。

これにより、

整数 \(x_{2}\) がとり得る値は限られる

ことになり、範囲を絞った後は個別検証するという目途がたつでしょう。

(1) の活用に気が付かないと \(\cdots\)

例えば、「解と係数の関係」などから攻め落とせないかと考えた人もいるかと思います。

その場合、与えられた方程式を

\(-x^{3}+3x^{2}+4x=k\)

と「定数分離」という考え方で見るのが自然でしょうか。

この方程式が 3 つの整数解をもつときを考えるわけです。

この3つの整数解を \(x_{1}\) ,  \(x_{2}\) ,  \(x_{3}\)  と設定します。

\(y=-x^{3}+3x^{2}+4x\) と \(y=k\) の交点の \(x\) 座標が \(x_{1}\) ,  \(x_{2}\) ,  \(x_{3}\) であることと、\(x_{1}\) ,  \(x_{2}\) ,  \(x_{3}\) が整数解の前に実数解として存在することを考えると、この \(k\) の範囲は限られます。

解と係数の関係から \(x_{1}x_{2}x_{3}=-k\) であり ,  \(x_{1}\) ,  \(x_{2}\) ,  \(x_{3}\)  が整数であることを考えると \(k\) も整数となります。

整数 \(k\) の範囲が限られていることから、候補は限られ個別検証に持ち込むという目途が立ちます。

ただ計算してみると分かると思いますが、この \(k\) の範囲が広いため、個別検証しなければならない場合の数が多く、あまり現実的ではないと思われます。

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