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鋭角三角形 \(\mathrm{ABC}\) の各頂点から対辺に下ろした垂線の足によってできる三角形の傍心が頂点 \(\mathrm{A}\) , \(\mathrm{B}\) , \(\mathrm{C}\) となっているという、分かりやすく面白い主張です。
三角形の五心
のうち、傍心は影が薄い存在かもしれませんが、この問題を解いた後だと
傍心、意外とやるじゃん
と思えるかもしれません。
この問題の三角形 \(\mathrm{PQR}\) の作り方から、垂心も登場し、本問の結果に一役買いそうですね。
(以下ネタバレ注意)
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示すべき目標
ひとまず
3頂点の対称性(対等性)
から
点 \(\mathrm{A}\) が \(\triangle \mathrm{PQR}\) の傍心の一つ
ということが言えれば、点 \(\mathrm{B}\) , \(\mathrm{C}\) も同様に傍心であることが言えます。
ということで、本問の着地点としては
示すべき目標
- 点 \(\mathrm{A}\) が \(\triangle \mathrm{PQR}\) の傍心の一つ
ということになります。
傍心であることを示すには
- 点 \(\mathrm{A}\) が \(\triangle \mathrm{PQR}\) の傍心の一つ
ということを示すには
- \(\angle{P}(内角)\) の二等分線
- \(\angle{Q}(外角)\) の二等分線
- \(\angle{R}(外角)\) の二等分線
の交点が点 \(\mathrm{A}\)
ということを示すことになります。
点 \(\mathrm{A}\) が \(\angle{\mathrm{QPR}}\) の二等分線上にあることの証明
まずは、\(\mathrm{AP}\) が、\(\angle{P}(内角)\) の二等分線であること、すなわち
\(\angle{\mathrm{RPH}}=\angle{\mathrm{HPQ}}\)
ということを示したいと思います。
そこで注目したいのが
という
四角形 \(\mathrm{BPHR}\) , \(\mathrm{CQHP}\)
という2つの四角形です。
この2つの四角形は、
- \(\angle{\mathrm{BPH}}+\angle{\mathrm{BRH}}=180^{\circ}\)
- \(\angle{\mathrm{CQH}}+\angle{\mathrm{CPH}}=180^{\circ}\)
なので、それぞれ円に内接する四角形です。
すると円周角の定理から
\(\angle{\mathrm{RBH}}=\angle{\mathrm{HCQ}}\)
が言えればよいことになります。
これについては
という2つの直角三角形に注目すれば、すぐに解決します。
これにより、
- \(\mathrm{AP}\) が、\(\angle{P}(内角)\) の二等分線である
ということが言えます。
対等性から
3頂点の対等性から、同様にして
- \(\mathrm{BQ}\) が、\(\angle{Q}(内角)\) の二等分線である
- \(\mathrm{CR}\) が、\(\angle{R}(内角)\) の二等分線である
ということも言えます。
つまり、
というシチュエーションが完成するため、
- 点 \(\mathrm{A}\) は \(\triangle{\mathrm{PQR}}\) の傍心
ということが言え、解決しました。
問題は、記述面でしょう。
幾何のような「視覚的」なものを文章のみで記述するのは
書く方も読む方もツライものです。
用意した解答はなるべく図がうるさくならないように分けて、図をふんだんに用いましたが、ただ、実戦の現場では、限られたスペースしかないため、図がうるさくなるかもしれません。
\(\angle{\mathrm{ABC}}\) という表記よりも \(\theta\) と名前を付ける
など、見やすくする工夫をすることをおススメします。
解答はコチラ