例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
2直線の交点の軌跡というテーマ性のある話題です。
単元学習で軌跡を学習したばかりの状態でこのテーマに取り組むと、「あれ?」となる人が多いでしょう。
方針としては複数考えられますが、どのような方針が自然かということについて比較検討まで含めて考えていきます。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 軌跡の基本は \((X \ , \ Y)\) とおき、\(X\) , \(Y\) の関係式を Get しにいくという路線です。 そこで、交点を具体的に求めてしまうというのが、多くの人が考える方針だと思います。 実際に、\(l\) , \(m\) の式を連立方程式と見なして解き、交点を求めると \((\displaystyle \frac{-2k+2}{k^{2}+1} \ , \ \displaystyle \frac{k^{2}-2k-1}{k^{2}+1})\) ということになり、交点を \((X \ , \ Y)\) とすると \(\begin{eqnarray} となります。 ここから \(X\) , \(Y\) の関係式を Get しにいきたい、すなわちパラメータ \(k\) を消去したいわけですが、それが中々困難です。 見えるかどうかは経験が左右する部分が大きいのですが、\((X \ , \ Y)\) という点はそもそも \(kx+y+1=0\) という直線 \(m\) 上の点 です。 つまり、\(kX+Y+1=0\) という関係式を満たしています。 場合分けが必要にはなりますが、細かなことを抜きにすれば、\(k=\displaystyle \frac{-Y-1}{X}\) と、\(k\) を消去できます。 直接交点を追っていくことが難しかったので、 \((1 \ , \ 3)\) は交点になれる? \((2 \ , \ 5)\) は交点になれる? \((-1 \ , \ \displaystyle \frac{1}{4})\) は交点になれる? \(\vdots\) というしらみつぶしの考え方(逆像法)で仕留めることも可能です。 逆像法の考え方の基本についてはテーマ別演習 逆像法 第1講【逆像法の考え方と使いどころをマスター】【最大最小問題への応用】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 今回は難関大を目指すにあたっては避けて通れない話題である「逆像法」について扱います。 このシリーズを通じて 逆像法のもつイメージ 逆像法の代表的な使いどころ をマスターし、状況に応じて自分で使いこなせるようにすることでライバルに差をつけましょう。 このシリーズの一覧はこちら 代表的な使いどころ 入試によく出題される話題の中で、逆像法が有効にはたらく場面というのは以下の話題です。 逆像法の代表的な使いどころ 最大最小問題への応用 ... 逆像法 第2講【座標変換への応用】【線形計画法の考え方の素】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 逆像法シリーズの第2講は 座標変換への応用 線形計画法 と逆像法についての関連を見ていきます。 このシリーズの一覧はこちら (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について \((x \ , \ y)\) という座標から \((x+y \ , \ xy)\) という座標への変換を考える問題です。 1954年に東大が出題したのが元祖で、通称「エンマさまの唇問題」と呼ばれている ... 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 逆像法シリーズ第3講は 通過領域 という難関大入試でも頻出の話題について扱います。 このシリーズの一覧はこちら (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 直接目で追いきれないので \(\cdots\) 今回、\(a\) が動くにつれて円 \(C_{a}\) も動くわけですが、中心、半径が同時に動くため、ラフな動きはともかく、細かな動きを目で追いきることは難しいでしょう。 そこで、逆に ... 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 逆像法第4講は 方程式の実数解がとり得る値の範囲 を考えるにあたって、逆像法が活用できるということを見ていきます。 このシリーズの一覧はこちら (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について これについては2次方程式の解に関する注文が入ってくる、いわゆる「解の配置問題」です。 整理しないとグチャグチャになりやすいタイプだと思います。 \(x=0\) を解にもつとき \(x=2\) を解 ... というシリーズの中で解説しています。 逆像法の考え方に基づき と考えます。 そうなると、 $$\begin{eqnarray} という連立方程式の解になり得るか? すなわち、これらをともに満たす実数 \(k\) が存在するかどうか? を考えることになります。 思いつきやすさで言えば、実際に交点を求める方針でしょう。 ただし、その後については多少の経験に基づく工夫が必要です。 逆像法の路線については、そもそも逆像法自体、上級テーマの一つですから慣れていない受験生も沢山いるでしょう。 今回のテーマである「2直線の交点の軌跡」については 行為1:『交点を求める』→ \(X\) , \(Y\) を \(k\) で表す 行為2:『軌跡を求める』→ \(k\) を消去して \(X\) , \(Y\) の関係式を作る と、目標が真逆です。 これが困難を生んでいる原因の一つでしょう。 本来の目的は「軌跡を求める」という「行為2」であり、それを達成するにあたって真逆の行為である「行為1」を行うのは、ある意味無駄です。 そう考えると、交点に触れない「逆像法」の路線が合理的だと言えると思います。 逆像法の路線が合理的と言っておきながら、交点を求める作業をさせている問題を類題としてもってきました。 恐らく、出題の意図は 「交点を出してから、文字消去してごらん?難しいでしょ?」 という「難しさを実感させる」ということでしょう。(かなり好意的に解釈しましたが) 類題では、例題で解説している方法に加え 「幾何的な考察」 についても触れてあります。思いつきやすい方針
\left\{
\begin{array}{l}
X =\displaystyle \frac{-2k+2}{k^{2}+1} \\
Y = \displaystyle \frac{k^{2}-2k-1}{k^{2}+1}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}\)ここから打破するには
別の考え方
逆像法の考え方の基本
\left\{
\begin{array}{l}
(k+1)X+(1-k)Y+k-1=0 \\
kX+Y+1=0
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$方針の比較
(難関大を目指すのであれば自分のものにしておきたいテーマですが)類題について
類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)