実践演習 方程式・不等式・関数系

2次同次式の不等式証明【次数に注目】【1997年度 島根大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

条件付きの不等式証明の問題ですが、見かけほど簡単ではないでしょう。

基本レベルだとは思いますが、スジが悪いと右往左往しかねない要素もあります。

(以下ネタバレ注意)

 

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手なりに(愚直に)進める方針

条件1つで1文字消去

ひとまず愚直に手を進めるとなると

ポイント

条件1つで1文字消去

という言葉にしたがって

\(c=3-a-b\)

などと文字を消す方針が考えられます。

手なりに差をとって

\(3-(ab+bc+ca)=3-ab-b(3-a-b)-a(3-a-b)\)

\(=a^{2}+ab+b^{2}-3a-3b+3\)

と \(a\) ,  \(b\) のみの式にします。

文字の整理は1文字中心

ここからの方針としてはこれまた、式の扱いにおける格言である

ポイント

文字の整理は1文字中心

という言葉に従って、どちらか1文字について整理していきます。

ここでは

\(a^{2}+ab+b^{2}-3a-3b+3=a^{2}+(b-3)a+b^{2}-3b+3\)

と \(a\) について整理していきます。

さらに平方完成して整理すれば

\((a-\displaystyle \frac{b+3}{2})^{2}+\displaystyle \frac{3}{4}(b-1)^{2} \geq 0\)

となり、解決します。

対称性を考える

与えられた条件にせよ、示すべき不等式にせよ、対称性があります。

上の1文字消去の路線について振り返ってみると

\(a\) ,  \(b\) ,  \(c\)  は対等なはずなのに

\(c\) を亡きものにし

\(a\) ,  \(b\) だけの式になったら

\(a\) に注目して \(a\) について整理する

など明らかに  \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\)  を対等に扱う解法ではありません。

そこで、条件式、示すべき不等式の双方に入っている数字 \(3\) に目をつけ

\(ab+bc+ca \leq a+b+c\)

と見る人もいるでしょう。

いわば

「\(3\) を消去」すれば \(a\) ,  \(b\) ,  \(c\) を対等に扱っているだろう

という態度です。

ただ、このまま差をとって

\(a+b+c-(ab+bc+ca)\)

を考えてもここから中々手が進まないと思います。

次数に注目

示すべき不等式

\(ab+bc+ca \leq a+b+c\)

は左辺が2次の同次式であるのに対して、右辺は1次です。

そこで、次数を揃えるために

\(ab+bc+ca \leq \displaystyle \frac{1}{3}(a+b+c)^{2}\)

と見れるとしめたものです。

ここから先は手なりに差をとって

\(\displaystyle \frac{1}{3}(a+b+c)^{2}-(ab+bc+ca)\)

を計算していけばよいでしょう。

その際、途中で

\(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca \geq 0\)

を証明する必要性が出てきます。

これについては初見ではキツイですが、

\(a^{2}+b^{2}+c^{2}-ab-bc-ca\)

\(\displaystyle \frac{1}{2}\{(a-b)^{2}+(b-c)^{2}+(c-a)^{2}\}\)

と見る有名な形ですので、必ずインストールをしておきましょう。

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