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単位円上の4点 \(\mathrm{A}\) , \(\mathrm{B}\) , \(\mathrm{C}\) , \(\mathrm{P}\) について
- \({\mathrm{PA}}^{2}+{\mathrm{PB}}^{2}+{\mathrm{PC}}^{2}\)
- \({\mathrm{PA}}+{\mathrm{PB}}+{\mathrm{PC}}\)
という2乗和、1乗和について扱う問題です。
2乗和、1乗和によって取りたくなる解法が異なってくると思います。
本問はその感覚を少しでも身につけてもらうことを目的とします。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 図形の問題を扱うにあたっては という分野が考えられます。 このうち、 距離の2乗 というものがモロに前面に出る分野としては という2分野でしょう。 単位円上の点 \(\mathrm{B}\) , \(\mathrm{C}\) を \(\mathrm{B}(\cos{\alpha} \ , \ \sin{\alpha})\) , \(\mathrm{C}(\cos{\beta} \ , \ \sin{\beta})\) と設定し、動点 \(\mathrm{P}\) を \(\mathrm{P}(\cos{\theta} \ , \ \sin{\theta})\) とおくことにします。 詳しい計算過程は省略しますが \({\mathrm{PA}}^{2}+{\mathrm{PB}}^{2}+{\mathrm{PC}}^{2}=6-2\{(1+\cos{\alpha}+\cos{\beta})\cos{\theta}+(\sin{\alpha}+\sin{\beta})\sin{\theta}\}\) となります。 これが、任意の \(\theta\) に対して一定値となるように仕組むことになるわけです。 \(\theta\) によらない一定値としようと思ったら、 となるしかなさそうです。 \(\cos{\theta}\) , \(\sin{\theta}\) の値は従属であることを考えると、安易に係数 \(0\) としてよいかについて自明とは言い難いため、解答では 補題 実数 \(a\) , \(b\) , \(c\) に対して という補題を証明することで、堂々と使うことにします。 この補題の証明については 全称命題 として捌いていくのが第一感です。 全称命題については テーマ別演習:全称命題 全称命題 第1講【恒等式として等号が成立するための条件】【1990年度 東京工業大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「全称命題」というテーマ性のある話題を扱います。 これは分野は関係なく、「考え方」に難しさがあり、独特な議論の進め方をします。 対応を知らないと、白紙になってしまったり、見当はずれなことを場当たり的に書いて終了してしまいかねません。 全称命題だと見抜く「眼」と、見抜いた後の「対応」の両輪をきちんと揃えておき、ライバルに差をつけましょう。 シリーズ一覧はこちら 今回は恒等式となるための条件を考えるという問題です。 見た目が仰々しく ... 全称命題 第2講【一般項と漸化式】【1986年度 東京工業大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第2講です。 シリーズ一覧はこちら 全称命題についての対応は第1講で学びました。 全称命題特有の処理を施すわけですが、その後については「分野」ごとの常識力が問われる問題に帰着します。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 全ての自然数 \(n\) について \(a_{n}\) を割り切る素数を探すので、 \(a_{1}\) も割り切る必要があるよね? という屁理屈 ... 全称命題 第3講【整数問題】【一般項か漸化式どちらを扱うか】【1997年度 一橋大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第3講です。 シリーズ一覧はこちら 今回は整数分野の全称命題を扱います。 必要条件を言う部分で整数問題としての処理が求められるでしょう。 その後の十分性の確認では第2講の内容が存分に現れるので、前回の内容の確認もできると思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む \(a_{n}=5^{n}+an+b\) とおきます。 全称命題と捉えて \(a_ ... 全称命題 第4講【整数問題の基本手法の運用に帰着】【1991年度 金沢大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第4講です。 シリーズ一覧はこちら 今回は第3講に引き続き整数問題に関する全称命題です。 全称命題に関する基本的な対応については第1講で扱っていますが、今一度ここでも確認します。 step1全称命題だと見抜く 「任意の」「どんな」「全ての」\(\cdots\) という類の言葉は発見のシグナルです。 step2「じゃあ \(\cdots\)」と屁理屈(考えやすい簡単なケース)を言って答えの候補(必要条件)を出す。 ... 全称命題 第5講【楕円についての論証】【1990年度 東京大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 全称命題シリーズ第5講です。 シリーズ一覧はこちら そもそも、今は「全称命題」というシリーズとしての問題としてこの問題と向き合っているから頭が全称命題モードになっていて、屁理屈を言おうと思えるかもしれません。 しかし実際試験場では何が出題されるか分かりません。 色々な問題に紛れてポンとおいてあったときに、冷静に全称命題だと見抜いて必要条件を出せるのかといった難しさがあると思います。 分野的にも整数や数 ... を参考にしてください。 通常、2次元の話では というセオリーに従い、2本の主役ベクトル(基底)を設定し、その基底を用いてその他の登場人物を表そうという態度が基本です。 ただ、本問のように、外心が絡んでくると外心 \(\mathrm{O}\) を始点にとり、 などとおいて話を進めることが多いです。 この路線は【戦略3】【解3】で扱っています。 今度は1乗和を扱うことになります。 そうなると、通常座標やベクトルを経由して距離を求めると \(\sqrt{ \ \ \ \ }\) が絡む ということになり、積極的にとりたい方針ではありません。 本問は座標でやっても、うまく半角公式を用いることにより、\(\sqrt{ \ \ \ \ }\) を外すことができます。 そこで (2) は幾何の方針で行くと、比較的スムーズに捌けると思います。 ただ、幾何は見たまんまなので、 見えればいいけどね ということになりやすい路線です。 幾何の路線は【解4】【解5】で扱っています。 幾何・座標・ベクトルの解法選択について、色々考えられる問題については 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 難関大の問題では図形を扱う際、どの分野で解き進めるかという選択を迫られることが多いです。 その分野として多いのが 図形を扱う代表的分野 ... 続きを見る なども参考にしてみてください。(1) について
路線1:座標
路線2:ベクトル
(2) について
分野の選択について
参考幾何・座標・ベクトル【別解の宝庫】【2002年度 京都大学】