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実践演習 整数系

連続する累乗数【ミハイレスクの定理】【2018年度 東北大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

3 の累乗数と 2 の累乗数で連続するものを考えるという問題です。

3^{1}2^{1} というのはほぼ自明な解ですが、その他はどうでしょうかということがこの問題の趣旨です。

1844年にカタランという数学者によって

カタラン予想

xymn1 より大きい整数とするとき

x^{m}-y^{n}=1

を満たす xymn

(x \ , \ y \ , \ m \ , \ n)=(3 \ , \ 2 \ , \ 2 \ , \ 3)

に限られる。

という予想が立てられました。

オイラーなど様々な数学者を巻き込みながら部分的に解決はしていきましたが、完全解決は2002年のミハイレスクによる証明まで待たなければなりませんでした。

本問は底を固定した 3 の累乗と 2 の累乗で考えるというカタラン予想の部分的な問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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問題はこちら(再掲)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

(1) について

a が負だと速攻でマズイことに気がつくと思います。

例えば a=-1 だと

3^{-1}-2^{b}=\displaystyle \frac{1}{3}-2^{b}

ということで \displaystyle \frac{1}{3} の時点で 1 を下回ってしまい、そこから 2^{b} を引くわけですから、=1 になるわけがありません。

つまり、3^{a} \lt 1 となってしまうのがマズいわけですから、逆に言えば、3^{a} \gt 1 となる根拠を探せばよいわけです。

すると

3^{a}=2^{b}+1 \gt 1

となりますから、a \gt 0 が言えます。

このとき、

2^{b}=3^{a}-1 \gt 3^{1}-1=2 \gt 0

も言えるため、b \gt 0 の方の証明も解決です。

(2) について

ひとまず累乗数を分けて

3^{a}=2^{b}+1

という形で見たいと思います。

整数問題の有力方針

  • 積の形から約数の拾い上げ
  • 余りで分類
  • 評価する(範囲を絞る)

を意識しつつ、今回は偶奇に注目する問題の趣旨から、余りに注目したいと思います。

さらに

  • 累乗数を何かで割った余りは限られる

という上級者にとっての基本事項も後押しの材料です。

累乗数の余りの周期性については

参考自然数の累乗の余り【累乗の余りの周期性】【1999年度 お茶の水女子大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) シンプルな整数問題で、教訓を多く含む問題です。 場当たり的に解き進めても、腕力がある人はねじ伏せることができるでしょうが、できれば戦略的 ...

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でしっかりと取り扱っています。

本問の

3^{a}=2^{b}+1

という形においては

  • 2^{b}+13 の倍数となっている

ということから

2^{n}+13 で割った余り

に注目したいところです。

f(n)=2^{n}+1 に対して

  • f(1)=3 \equiv 0 \pmod 3
  • f(2)=5 \equiv 2 \pmod 3
  • f(3)=9 \equiv 0 \pmod 3
  • f(4)=17 \equiv 2 \pmod 3

という実験結果から、f(n)3 で割った余りは

02 の繰り返し

という予想が立ちます。

この後の周期性を裏付けるためには

f(n+2) \equiv f(n) \pmod 3

すなわち

f(n+2)-f(n) \equiv 0 \pmod 3

が言えればOKで、

  • f(n+2)-f(n)3 の倍数であること

を言えばよいでしょう。

f(n)=2^{n}+13 で割った余りが 02 の繰り返しであることが言えれば、2^{b}+13 の倍数であるためには

b が奇数

ということになります。

すると、b1 より大きな奇数ということになり

b=2B+1

と自然数 B を用いて表せるため、

3^{a}=2 \cdot 4^{B}+1

という関係式を得ます。

今度は 3^{a}4 で割って 1 余るということになるため、

  • 3^{n}4 で割った余り

について調べたくなります。

先ほど同様に3^{n}4 で割った余りは

31 の繰り返し

ということが言えますから、3^{a}4 で割った余りが 1 となるためには

a は偶数

ということになり、解決です。

(3) について

(2) という強力なヒントがありますから、b=1b \gt 1 のときに分けて考えたいところです。

b=1 のときは a=1 も即座に得られるため、問題ないでしょう。

b \gt 1 のとき

b \gt 1 のときは a が偶数であるため

a=2m

と自然数 m を用いて表せます。

このときは

3^{2m}-1=2^{b}

となり、

(3^{m}+1)(3^{m}-1)=2^{b}

と因数分解が狙えます。

これにより、3^{m}+13^{m}-1

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 3^{m}+1=2^{\alpha}\\ 3^{m}-1=2^{\beta} \end{array} \right. \end{eqnarray}

と、それぞれ2の累乗の形で表せることになります。

ここからは、m を消去するために辺々引くことにします。

それにより

2^{\alpha}-2^{\beta}=2

を得るわけですが、ここから

  • 左辺の素因数 2 の個数は 2^{\beta} が握っている

という部分をスムーズに見抜きたいところです。

2^{\beta}(2^{\alpha-\beta}-1)=2

とするとより明確で、2^{\alpha-\beta}-1 は奇数ですから、

\beta=1

が得られることになり、あとは芋づる式に色々求まっていきます。

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