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等差中項に関する論証問題です。
本問はヒントなんだけど、ヒントになりすぎない絶妙な誘導が付いており、入試問題としてはよく練られた設計です。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 一般に ということは同値 ということが言えます。 このとき、\(b\) を \(a\) , \(c\) の等差中項と言います。 証明 \(a\) , \(b\) , \(c\) がこの順に等差数列である \(\Leftrightarrow\) \(b-a=c-b\) \(\Leftrightarrow\) \(2b=a+c\) 本問においては \(2r^{2}=1+r^{3}\) ということが言えます。 これを整理すると \(r^{3}-2r^{2}+1=0\) となり、これは \((r-1)(r^{2}-r-1)=0\) と因数分解できます。 \(r \neq 1\) , \(r \gt 0\) であることに注意すれば \(r=\displaystyle \frac{1 + \sqrt{5}}{2}\) ということになります。 です。 \(2 \lt \sqrt{5} \lt 3\) であるため、 \(\displaystyle \frac{1+\sqrt{5}}{2} \lt \displaystyle \frac{1+3}{2} \lt \displaystyle \frac{3+\sqrt{5}}{2}\) すなわち \(r \lt 2 \lt r^{2}\) が成り立ちます。 今回示すべき主張は「等差数列にならない」という否定的な命題であるため、 背理法 を睨むのが自然でしょう。 本問においては \(1\) , \(r^{m}\) , \(r^{m+2}\) がこの順に等差数列になる と仮定します。 このとき、等差中項の関係式から \(2r^{m}=1+r^{m+2}\) が成り立ちます。 これより、 \(r^{m}(2-r^{2})=1\) ということが言えますが、もうおかしなことが起こっています。 (1) の後半の結果から \(2-r^{2} \lt 0\) ということになるため、 左辺は負の値だが、右辺は正の値 となって矛盾します。 ということを考え、 と睨めればしめたものです。 もし、\(1\) , \(r^{m}\) , \(r^{m+k}\) がこの順に等差数列であるならば、等差中項の関係式から \(2r^{m}=1+r^{m+k}\) という関係式が成り立ちます。 このとき、 \(r^{m}(2-r^{k})=1\) ということになります。 (2) と同様の着眼点で両辺の符号に注目すると \(r^{k} \lt 2\) ですから、これを満たす自然数 \(k\) は \(k=1\) に限られることになります。 ここまでできれば、あとは \(r^{m}=\displaystyle \frac{1}{2-r}\) という等式から \(m\) を求めにいけばよいでしょう。 ココに注意
「\(r\) , \(m\) という2文字に対して式が一つしかありません」 とか変なことを言わないでくださいね。 \(r\) は便宜上文字で表されているだけであり、実際のところ \(r=\displaystyle \frac{1+\sqrt{5}}{2}\) というように、\(r\) は具体的な数字です。 \(r^{m}=\cdots=\cdots\) と計算していき、最終的に \(r^{m}=r^{2}\) ということができれば、\(m=2\) , \(n=3\) という値の組が求まります。 証明問題なので という気持ちで計算していきましょう。 今回、 という部分が急所でしょう。 \(m \lt n\) であるときに、この \(m\) と \(n\) の誤差を埋めるように \(n=m+k\) と見るものの見方は中々難しいものがあるでしょう。 分野は違いますが、この「誤差を埋める」という感覚が効いてくる問題たちについては 例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 例題の最終的なオチは与えられた2次式が平方数になるような ... 続きを見る でも扱っています。(1) について
(1) の後半について
(2) について
(3) について
参考不定方程式【誤差を埋める】【2017年度 北海道大学ほか】