問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
\(t\) に依存する3次方程式の解 \(\alpha\) , \(\beta\) , \(\gamma\) に関する定積分の値を考える問題です。
完答できるかどうかの差はつきやすい問題で、解決する人はあっという間に解決してしまうと思います。
「簡単な難問」、「難しい易問」という言葉がありますが、どちらかというと個人的には難しい易問だと感じました。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む \(x^{3}-3x=t\) が \(x=\alpha\) を解にもつわけですから \(t={\alpha}^{3}-3{\alpha}\) となり、\(t\) を消去できます。 問題文で「\(t\) を使うな」という指示があるため、\(t\) を消しにいくというのはぶっ飛んだ発想ではありません。 これにより、 \(x^{3}-3x-{\alpha}^{3}+3{\alpha}=0\) が \(\alpha\) , \(\beta\) , \(\gamma\) を解にもつということになります。 元々 「\(x=\alpha\) を解にもつから」ということで立式したこの \(3\) 次方程式が \(x=\alpha\) を解にもつのは当然で、左辺は因数定理から、\(x-{\alpha}\) を因数にもちます。 そのことを念頭に置き、左辺を因数分解すると、この \(3\) 次方程式は \((x-{\alpha})(x^{2}+{\alpha}x+{\alpha}^{2}-3)=0\) となるため、\(\beta\) , \(\gamma\) は \(x^{2}+{\alpha}x+{\alpha}^{2}-3=0\) という \(2\) 次方程式から生じる解ということになり、あとは解の公式を用いて解けばよく、\(\beta \geq \gamma\) に注意すれば \(\beta=\displaystyle \frac{-{\alpha}+\sqrt{3(4-{\alpha}^{2})}}{2}\) , \(\gamma=\displaystyle \frac{-{\alpha}-\sqrt{3(4-{\alpha}^{2})}}{2}\) と得られて、解決です。 解と係数の関係から \({\beta}{\gamma}={\alpha}^{2}-3\) ですから、 \(\displaystyle \frac{\beta \gamma}{\alpha}=\displaystyle \frac{{\alpha}^{2}-3}{\alpha}\) となります。 したがって、与えられた定積分は \(\displaystyle \int_{-2}^{2} \displaystyle \frac{{\alpha}^{2}-3}{\alpha} dt\) となります。 ただし、今回は \(\alpha\) を \(t\) の式に直し \(\displaystyle \int_{-2}^{2} (t の式) dt\) とするのは困難です。 そこで、\(\alpha\) を \(t\) の式にする方向性は諦め \(dt\) を \(d \alpha\) にする という積分変数の方を変える方向性に切り替えます。 \(t={\alpha}^{3}-3{\alpha}\) ですから \(dt=(3{\alpha}^{2}-3) d \alpha\) なので、 \(\displaystyle \int_{-2}^{2} \displaystyle \frac{{\alpha}^{2}-3}{\alpha} dt=\displaystyle \int_{△}^{○} (\alpha の式) d \alpha\) となり、解決します。 あとは \(t\) が \(-2\) から \(2\) まで変化するとき、\(\alpha\) がどこからどこまで変化するかを考え、積分区間をとらえれば解決です。 勉強をしている人からすると、今回の \(x^{3}-3x=t\) という \(3\) 次方程式を見て、チェビシェフの多項式を活用した解法を狙えないかが頭をよぎった人もいると思います。 やってみると分かりますが、結構茨の道であり、強靭な基礎力が必要となります。 これについては別解というより、参考解答として【総括】の後に載せておきましたので、余力があればご一読ください。 チェビシェフの多項式については テーマ別演習:チェビシェフの多項式 チェビシェフの多項式 第1講【第1種チェビシェフ多項式】【2008年度 東京慈恵会医科大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 このシリーズのまとめはこちら まず、 \(\cos{n\theta}=T_{n}(\cos{\theta})\) を満たす多項式 \(T_{n}(x)\) のことを(第1種)チェビシェフの多項式といいます。 例をあげ ... チェビシェフの多項式 第2講【チェビシェフの多項式が満たす漸化式】【2015年度 千葉大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 今回は第2弾です。 このシリーズのまとめはこちら 今回はチェビシェフの多項式 \(T_{n}(x)\) が満たす漸化式について考えます。 チェビシェフの多項式 \(T_{n}(x)\) は チェビシェフの多項式が満たす漸化式 $$ ... チェビシェフの多項式 第3講【第2種チェビシェフの多項式】【1996年度 京都大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 今回は第3弾です。 このシリーズのまとめはこちら 前回までに \(\cos{n\theta}=T_{n}(\cos{\theta})\) を満たす多項式 \(T_{n}(x)\) について考えてきました。 じゃあ \(\sin{n ... チェビシェフの多項式 第4講【チェビシェフの多項式のグラフの特徴】【1997年度 京都大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 今回は第4弾です。 このシリーズのまとめはこちら 今回のテーマは \(y=T_{n}(x)\) のグラフの特徴です。 本問は前回までと違って \(\cos{n\theta}=T_{n}(\cos{\theta})\) といったよう ... チェビシェフの多項式 第5講【変形チェビシェフの多項式】【2004年度 名古屋大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 今回は第5弾です。 このシリーズのまとめはこちら これまでのチェビシェフの多項式 \(T_{n}(x)\) と似ていますが、\(\cos{n\theta}\) ではなく、\(2\cos{n\theta}\) や、\( ... チェビシェフの多項式 第6講【変形チェビシェフの多項式のグラフ】【2004年度 東京大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 今回は第6弾です。 このシリーズのまとめはこちら 背景的知識を抜きにしても本問を解くことはできますので、まずは正攻法で挑んでほしいと思います。 (以下ネタバレ注意) + クリ ... チェビシェフの多項式 第7講【ミニマックス原理との関連】【1977年度岐阜大学】 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの多項式と呼ばれる有名テーマを扱った問題で、大学入試においても様々な角度から切り込まれています。 初見だと厳しい内容もありますので、代表的な問題を今回シリーズものとして扱うことにしました。 今回は第7弾です。 【前回までの内容】 今回はミニマックス原理というものが背景にある問題を扱います。 一連の流れが非常に独特です。 誘導があるならともかく、誘導なしの場合、初見で対応するのはかなり難しいと思います。 ... でシリーズもので扱っています。 今回の話題に近いのは、第6講で扱った内容です。(1) について
(2) について
チェビシェフの多項式