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\(x\) と \(\displaystyle \frac{1}{x}\) の対称式を相反式と言い、相反式に関する不等式証明の問題です。
(1) は特に問題はないでしょうが、(2) が解法によって大変さが変わってきます。
そのまま手なりに押し通すこともできますが、その場合は結構腕力が必要です。
試験場であれば傷だらけになるのを覚悟で茨の道を駆け抜けるのも致し方ないでしょう。
問題を読み、題意を把握した段階で疑問を感じたら、工夫の余地が見えてくるかもしれません。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む \(u(x)\) の正体は \((ax^{2}+bx+c)(\displaystyle \frac {a}{x^{2}}+\displaystyle \frac {b}{x}+c)\) です。 これを展開し、整理すると \(a^{2}+b^{2}+c^{2}+ab(x+\displaystyle \frac {1}{x})+bc(x+\displaystyle \frac {1}{x})+ca(x^{2}+\displaystyle \frac {1}{x^{2}})\) となります。 \(x^{2}+\displaystyle \frac {1}{x^{2}}=(x+\displaystyle \frac {1}{x})^{2}-2\) であるため、 \(x^{2}+\displaystyle \frac {1}{x^{2}}=y^{2}-2\) ということに注意すれば \(u(x)=a^{2}+b^{2}+c^{2}+aby+bcy+ca(y^{2}-2)\) を得るため、整理すると \(u(x)=cay^{2}+b(c+a)y+a^{2}+b^{2}+c^{2}-2ca\) というように、\(y\) の整式で表せました。 路線としては様々あります。 \(v(y)\) の式を観察してみると、どの文字についても2次です。 このことから、 \(v(y) \geq 0\) という結論の根拠は \((実数)^{2} \geq 0\) という2乗が決め手となりそうです。 つまり、\(v(y)\) を何かの文字について整理し、 平方完成 をしたいと思うのが自然でしょうか。 ただ、今回のターゲットが \(v(y)\) という \(y\) の式のまま平方完成しようとしても \(v(y)=ca\{y+\displaystyle \frac {b(c+a)}{2ca}\}^{2}+\cdots\) という形となり、\(ca\) の符号が定まっていない以上、平方完成そのものが決め手とはならないでしょう。 そこで、最高次の係数が \(1\) である \(a\) , \(b\) , \(c\) に注目し、その中でも降べきの順に直した際に係数的処理が楽になりそうな \(b\)について整理し平方完成する ということを考えます。 この路線は【解1】で扱っています。 そもそもの話です。 \(x \gt 0\) であるとき \(x+\displaystyle \frac {1}{x} \geq 2\) ということについては、当然常識レベルで身についているでしょう。 もちろん、根拠は 相加平均・相乗平均の関係 です。 \(x+\displaystyle \frac {1}{x}\) は奇関数であるため \(x \lt 0\) であるとき \(x+\displaystyle \frac {1}{x} \leq -2\) ということも言え、まとめると \(|x+\displaystyle \frac {1}{x}| \geq 2\) ということになります。 つまり、\(y=x+\displaystyle \frac {1}{x}\) とおいたとき、通常 \(y \leq -2\) , \(2 \leq y\) というわけです。 それが \(-2 \leq y \leq 2\) であるという条件に疑問をもち、 \(x\) って基本的に虚数か? と睨めると、複素数的な処理が頭をよぎります。 この路線は【解2】【解3】で扱っています。 \(v(y)\) という \(y\) についての整式を、そのまま \(y\) をメインの文字として見続けて というように、絶対不等式としての処理をするのも当然選択肢の一つです。 ただ、冒頭述べたように、この路線で完答しようと思うと結構な腕力が必要です。 勉強していれば思いつくこと自体に無理はありませんが、腕力不足によって撤退してしまいやすい路線かもしれません。 この路線については【解4】で扱っています。(1) について
(2) について
路線1:\(b\) について平方完成
路線2:複素数としての処理
路線3:そのまま絶対不等式と見る