(1) について
u(x) の正体は
(ax^{2}+bx+c)(\displaystyle \frac {a}{x^{2}}+\displaystyle \frac {b}{x}+c)
です。
これを展開し、整理すると
a^{2}+b^{2}+c^{2}+ab(x+\displaystyle \frac {1}{x})+bc(x+\displaystyle \frac {1}{x})+ca(x^{2}+\displaystyle \frac {1}{x^{2}})
となります。
x^{2}+\displaystyle \frac {1}{x^{2}}=(x+\displaystyle \frac {1}{x})^{2}-2
であるため、
x^{2}+\displaystyle \frac {1}{x^{2}}=y^{2}-2
ということに注意すれば
u(x)=a^{2}+b^{2}+c^{2}+aby+bcy+ca(y^{2}-2)
を得るため、整理すると
u(x)=cay^{2}+b(c+a)y+a^{2}+b^{2}+c^{2}-2ca
というように、y の整式で表せました。
(2) について
路線としては様々あります。
路線1:b について平方完成
v(y) の式を観察してみると、どの文字についても2次です。
このことから、
v(y) \geq 0
という結論の根拠は
(実数)^{2} \geq 0
という2乗が決め手となりそうです。
つまり、v(y) を何かの文字について整理し、
平方完成
をしたいと思うのが自然でしょうか。
ただ、今回のターゲットが v(y) という y の式のまま平方完成しようとしても
v(y)=ca\{y+\displaystyle \frac {b(c+a)}{2ca}\}^{2}+\cdots
という形となり、ca の符号が定まっていない以上、平方完成そのものが決め手とはならないでしょう。
そこで、最高次の係数が 1 である a , b , c に注目し、その中でも降べきの順に直した際に係数的処理が楽になりそうな
bについて整理し平方完成する
ということを考えます。
この路線は【解1】で扱っています。
路線2:複素数としての処理
そもそもの話です。
x \gt 0 であるとき
x+\displaystyle \frac {1}{x} \geq 2
ということについては、当然常識レベルで身についているでしょう。
もちろん、根拠は
相加平均・相乗平均の関係
です。
x+\displaystyle \frac {1}{x} は奇関数であるため
x \lt 0 であるとき
x+\displaystyle \frac {1}{x} \leq -2
ということも言え、まとめると
|x+\displaystyle \frac {1}{x}| \geq 2
ということになります。
つまり、y=x+\displaystyle \frac {1}{x} とおいたとき、通常
y \leq -2 , 2 \leq y
というわけです。
それが -2 \leq y \leq 2 であるという条件に疑問をもち、
x って基本的に虚数か?
と睨めると、複素数的な処理が頭をよぎります。
この路線は【解2】【解3】で扱っています。
路線3:そのまま絶対不等式と見る
v(y) という y についての整式を、そのまま y をメインの文字として見続けて
- -2 \leq y \leq 2 における v(y) の最小値が 0 以上となればよい
というように、絶対不等式としての処理をするのも当然選択肢の一つです。
ただ、冒頭述べたように、この路線で完答しようと思うと結構な腕力が必要です。
勉強していれば思いつくこと自体に無理はありませんが、腕力不足によって撤退してしまいやすい路線かもしれません。
この路線については【解4】で扱っています。
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