実践演習 幾何・ベクトル系

正四面体の重心【共線条件と対称性の活用】【1999年度 東北大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

四面体において、各頂点と対面の重心を結んだ線分は 1 点で交わります。

三角形において、各頂点と対辺の中点を結んだ線分が 1 点で交わり、その点を三角形の重心と呼ぶのに倣って、これを四面体の重心と言います。

\(\mathrm{A}(\vec{a})\) , \(\mathrm{B}(\vec{b})\) ,  \(\mathrm{C}(\vec{c})\) ,  \(\mathrm{D}(\vec{d})\) によってできる四面体の重心 \(\mathrm{G}\) の位置ベクトル \(\vec{g}\) は

\(\vec{g}=\displaystyle \frac {1}{4}(\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}+\vec{d})\)

で与えられます。

もちろん、これを前面に押し出していいかというと言葉に詰まりますが、検算にはなるでしょうし、仮に知らなかったとしても出てきた結論を見て、結果のキレイさに出した結論の妥当性を感じることはできると思います。

【解答】では導出過程も含めて記述します。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

ひとまずは3次元空間のベクトルを扱うにあたり

1つの始点、3つの基底

という言葉に従い、始点を \(\mathrm{A}\) 、基底(主役のベクトル)を\(\overrightarrow{ \mathrm{AB} }\) ,  \(\overrightarrow{ \mathrm{AC} }\) ,  \(\overrightarrow{ \mathrm{AD} }\) として

\(\overrightarrow{ \mathrm{AG} }\) ,  \(\overrightarrow{ \mathrm{AH} }\)

というその他の登場人物を主役の3本のベクトルで表します。

三角形の重心の位置ベクトルについては、教科書に記載がありますから断りなく用いて構いません。

\(\overrightarrow{ \mathrm{AG} }=\displaystyle \frac{1}{3}\overrightarrow{ \mathrm{AB} }+\displaystyle \frac{1}{3}\overrightarrow{ \mathrm{AC} }+\displaystyle \frac{1}{3}\overrightarrow{ \mathrm{AD} }\)

\(\overrightarrow{ \mathrm{AH} }=\displaystyle \frac{1}{3}\overrightarrow{ \mathrm{AC} }+\displaystyle \frac{1}{3}\overrightarrow{ \mathrm{AD} }\)

となります。

これでお膳立てが整いました。

交点の位置ベクトルと共線条件

今回の \(\mathrm{O}\) は

直線 \(\mathrm{AG}\) ,  \(\mathrm{BH}\) との交点

として得られるものです。

したがって \(\mathrm{O}\) が

直線 \(\mathrm{AG}\) 上 ,  かつ  直線 \(\mathrm{BH}\) 上

という2点を翻訳していきます。

直線 \(\mathrm{AG}\) 上ということは

\(\overrightarrow{ \mathrm{AO} }=k\overrightarrow{ \mathrm{AG} }\)

と翻訳すれば一撃です。

直線 \(\mathrm{BH}\) 上ということは

\(\overrightarrow{ \mathrm{AO} }=(1-t)\overrightarrow{ \mathrm{AB} }+t\overrightarrow{ \mathrm{AH} }\)

と言えばよいでしょう。

これについては

  • \(\mathrm{BO} : \mathrm{BH}=t : 1-t\) とおく

もしくは

  • \(s+t=1\) として \(\overrightarrow{ \mathrm{OP} }=s\overrightarrow{ \mathrm{OA} }+t\overrightarrow{ \mathrm{OB} }\) であるとき、\(\mathrm{P}\) は直線 \(\mathrm{AB}\) 上

という直線ベクトル方程式の基本を用いる

(ここで言う \(\mathrm{O}\) ,  \(\mathrm{A}\) ,  \(\mathrm{B}\) は本問のアルファベットとは関係ありません。)

のいずれかから手際よく立式したいところです。

あとは、

\(\overrightarrow{ \mathrm{AO} }\) が \(\overrightarrow{ \mathrm{AB} }\) ,  \(\overrightarrow{ \mathrm{AC} }\) ,  \(\overrightarrow{ \mathrm{AD} }\) という1次独立な3本のベクトルを用いて 2 通りで表せるため、係数比較に持ち込めます。

(2) について

切り替えが難しいところですが、今度は始点を \(\mathrm{O}\) で考えます。

\(\mathrm{O}\) は \(\mathrm{A}\) ,  \(\mathrm{B}\) ,  \(\mathrm{C}\) ,  \(\mathrm{D}\) から見て対等な立場にあるため、将来的に扱いやすいためです。

そうなると今回考えるべき

\(|\overrightarrow{ \mathrm{AP} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{BP} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{CP} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{DP} }|^{2}\)

\(|\overrightarrow{ \mathrm{OP} }-\overrightarrow{ \mathrm{OA} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{OP} }-\overrightarrow{ \mathrm{OB} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{OP} }-\overrightarrow{ \mathrm{OC} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{OP} }-\overrightarrow{ \mathrm{OD} }|^{2}\)

となります。

そうなると、計算を進めるのに必要なのは

\(|\overrightarrow{ \mathrm{OA} }|\) ,  \(|\overrightarrow{ \mathrm{OB} }|\) ,  \(|\overrightarrow{ \mathrm{OC} }|\) ,  \(|\overrightarrow{ \mathrm{OD} }|\)

です。

2乗展開のクロスタームについては

\(\overrightarrow{ \mathrm{OA} }+\overrightarrow{ \mathrm{OB} }+\overrightarrow{ \mathrm{OC} }+\overrightarrow{ \mathrm{OD} }=\vec{0}\)

によって消えることが目論めます。

四面体の重心であることを知っているとこの辺りは若干有利です。

そうなると、結局

\(|\overrightarrow{ \mathrm{AP} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{BP} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{CP} }|^{2}+|\overrightarrow{ \mathrm{DP} }|^{2}=4|\overrightarrow{ \mathrm{OP} }|^{2}+(定数)\)

という形になることが見込まれ、

\(|\overrightarrow{ \mathrm{OP} }|\) の最大・最小

を考えることに集中すればよくなります。

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