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実践演習 整数系

整数問題【評価の工夫】【行き詰まったときのリカバリー】【2007年度 大分大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

パッと見の見た目としては「例題チック」な印象を受けます。

ある程度の演習をこなして、色々な「凝った問題」に触れてきた人からすると、本問の見た目は「そそる」ようなものではないかもしれません。

実際 (1) はテンプレ的な問題です。

ただ、(2) は結構難しいと思います。

閃き一発系の方針もあれば、愚直に前進していくルートもあります。

そういった意味で、勉強にはなると思いますし、得られるものもあると思います。

ぜひ一度考えてみてください。

整数問題の基本については

整数問題の有力方針

  • 積の形から約数の拾い上げ
  • 余りで分類
  • 評価する(範囲を絞る)

を意識します。

今回は「積の形から約数の拾い上げ」と「評価する(範囲を絞る)」についての運用に触れます。

この問題よりもっと簡単な例題について一から確認したい方は、以下に折りたたんでおきます。

+マークをクリック(タップ)して確認してください。

 

 

 

+ 基本事項を確認する

積の形から約数の拾い上げ

例題:x ,  y は自然数とする。xy+2x+3y=6  となる x ,  y の値の組を全て求めよ。

解答例

与えられた方程式は (x+3)(y+2)=12 と変形できる。

x+3 , \ y+2  はともに自然数なので

(x+3 ,  \ y+2)=(1, 12) \ (2 , 6) \ (3 , 4) \ (4 , 3) \ (6 , 2) \ (12 , 1)

よって ,  (x , \ y)=(-2 , 10) \ (-1 , 4) \ (0 ,  2) \ (1 , 1) \ (3 , 0) \ (9 , -1)

このうち、x , \ y がともに自然数である組は

(x , \ y)=(1 , \ 1)

実際にはもう少し手際よく絞れたりしますが、このように積の形を無理やり作って 12 の約数を拾い上げていきます。

整数問題の中でもかなり頻出な考え方です。

余りで分類

例題:m を整数として、平方数 m^23 で割った余りは 2 とならないことを示せ。

解答例

以下 , k は整数とする。

<1> \  \ m=3k  のとき

m^2=9k^2  で , m^23 で割った余りは 0

<2> \  \ m=3k\pm 1   のとき

m^2=9k^2\pm6k+1=3 \ (3k^2\pm2k)+1  で , m^23 で割った余りは 1

よって、平方数 m^23 で割った余りは 0 または 1 に限られ、題意は示された。

今回の例題の場合、世の中の整数を 3 で割った余りで分類しました。

3k3k+13k+2  と分類してもよいのですが、3 で割って 2 余る数というのは

3 の倍数から見て 1 足りない数」

ということもできるため、余り 1 のときと、余り 2 のときを合わせて

m=3k\pm 1   のとき

としてやるという工夫もよくやります。

また、「何で割った余りに注目するか」ということもレベルが高くなってくると大事になってきます。

評価する(範囲を絞る)

例題:xyz=x+y+z を満たす自然数 (x , \ y , \ z) の組を全て求めよ。

解答例

問題の対称性からひとまず x \leq y \leq z として考える。

このとき , x+y+z \leq z+z+z であり , 条件から , xyz \leq 3z

すなわち , xy \leq 3

これより ,  (x , \ y)=(1 ,  \ 1) , \ \ (1 , \ 2) ,  \ \ (1 , \ 3)

<1>  (x , \ y)=(1 ,  \ 1) のとき

与えられた条件式から , z=2+z でこれを満たす z は存在しない。

<2>  (x , \ y)=(1 ,  \ 2) のとき

与えられた条件式から , 2z=3+z で ,  z=3 を得る。
(これは x \leq y \leq z を満たす。)

<3>  (x , \ y)=(1 ,  \ 3) のとき

与えられた条件式から , 3z=4+z で ,  z=2 を得る。
(これは x \leq y \leq z を満たさない。)

以上 <1> , <2> , <3> から

(x , \ y , \ z)=(1 , \ 2 , \ 3)

実際には  x \leq y \leq z  という制限はないので

(x , \ y , \ z)=(1 , \ 2 , \ 3) , \ \ (1 , \ 3 , \ 2) , \ \ (2 , \ 1 , \ 3) , \ \ (2 , \ 3 , \ 1) , \ \ (3 , \ 1 , \ 2) , \ \ (3 , \ 2 , \ 1)

まず今回の数たちというのはそんなに大きくないだろうことが予測されます。

普通は (積) \gt (和)  にも関わらず、積と和が等しいと言っているのですから。

そして、今回の問題には「対称性」があります。

なので、いったん x \leq y \leq z という区別をつけて考えることで範囲を絞り込み、(x , \ y , \ z) の組が出てきたら、その大小関係を外して答えとします。

変数が3文字以上になると、このように等式を諦めて不等式をつないでいくことが多くなると思います。

特に対称性がある整数問題ではそれを見落とさないようにしましょう。

 

 

解答はコチラ

 

 

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