テーマ別演習 数値評価

数値評価 第5講【log2の評価】【2007年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

「数値評価」シリーズの第5弾です。

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数値評価 第1講【円周率πの評価】【2019年度 埼玉大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)     「数値評価」というテーマを扱います。 このシリーズの一覧はこちら   今回は円周率 \(\pi\) の評価です。 第1回ということもあり、まずは丁寧な誘導のついた問題をもってきました。 (1)は展開して定積分を計算するだけです。 (2)は  \(x=\tan\theta\)  \((-\displaystyle\frac{\pi}{2}  \lt \theta \lt \displaystyle\frac ...

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数値評価 第2講【ネイピア数eの評価】【2010年度 横浜市立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   「数値評価」シリーズの第2弾です。 このシリーズの一覧はこちら   前回の第1弾は円周率 \(\pi\) の評価でした。 今回はネイピア数 \(e\) の評価です。 案の定ヒントめいた不等式が誘導としてついています。 前回と違い、今回はちょっとだけオチで一工夫が必要です。 (2) の不等式に \(a=1\) をそのまま代入してもうまくいきません。 今回の問題を通じて教訓として学んでほしいことは 評価に失敗したときのリカ ...

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数値評価 第3講【e^πの評価】【1999年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   「数値評価」シリーズの第3弾です。 このシリーズの一覧はこちら   今回は \(e^{\pi}\) の評価です。 前回までと違い、今回はノーヒントでの出題です。 まず、今回の定積分  \(\displaystyle \int_{0}^{\pi} e^{x}\sin^{2} x dx\)  は計算可能です。 次数を下げるために半角公式でほぐした後は   ポイント 【  \(\displaystyle \int_ ...

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数値評価 第4講【e^eの評価】【1992年度 北海道大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)     「数値評価」シリーズの第4弾です。 このシリーズの一覧はこちら   今回は \(e^e\)  の評価です。 ノーヒントでの出題であるため、基本的な構想を自分で組み立てる必要があります。 与えられた近似値を単純に使うとなると、手計算できる範囲では $$e^2 \lt e^e \lt e^3$$ とやるのが普通でしょうか。 これを計算しても、 $$7.387524 \lt e^e \lt 20.0792902 ...

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数値評価 第5講【log2の評価】【2007年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「数値評価」シリーズの第5弾です。 このシリーズの一覧はこちら 今回は \(\log{2}\) という自然対数の評価です。 (1) という誘導設問がありますが、単純に使うと失敗します。 恐らくほとんどの人が最初失敗して、そこからリカバリーしきれるかどうかという勝負になるでしょう。 不等式の精度を高めるために(誤差を小さくするために)どのようにすべきか、という部分に脳みそをつかっていきたいところです。 (以下ネタバレ注意)   + ク ...

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今回は \(\log{2}\) という自然対数の評価です。

(1) という誘導設問がありますが、単純に使うと失敗します。

恐らくほとんどの人が最初失敗して、そこからリカバリーしきれるかどうかという勝負になるでしょう。

不等式の精度を高めるために(誤差を小さくするために)どのようにすべきか、という部分に脳みそをつかっていきたいところです。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

真ん中は実際に積分可能です。

それをわざわざ敢えて定積分の形で訊いているので、意識したいのは「面積評価」です。

そう考えると、最右辺は台形を彷彿とさせる形をしています。

そこで

という構図で考えればよいでしょう。

(2) について

\(\displaystyle \int_{a-x}^{a+x} \displaystyle \frac{1}{t} dt=\log{\displaystyle \frac{a+x}{a-x}}\)

ですから、(1) の不等式は

\(\displaystyle \frac{2x}{a} \lt \log{\displaystyle \frac{a+x}{a-x}} \lt x(\displaystyle \frac{1}{a+x}+\displaystyle \frac{1}{a-x})\)

ということになります。

当然、真ん中の \(\log{\displaystyle \frac{a+x}{a-x}}\) を \(\log{2}\) に見立てていくことを考えたくなるでしょう。

そこで、\(\displaystyle \frac{a+x}{a-x}=2\) としたくなると思います。

これより、\(\displaystyle \frac{x}{a}=\displaystyle \frac{1}{3}\) となります。

しかし、そうなると左側の不等式が

\(\displaystyle \frac{2}{3} \lt \log{2}\)

となってしまい、示すべき不等式よりもあまい結果となって失敗します。

ここからどうリカバリーするかです。

先ほどの面積評価の際のもとになったグラフ

を見て見ると、

  • \(a\) が固定されていれば、幅が小さくなる(\(x\) が小さくなる)
  • \(x\) が固定されていれば、右に行く(\(a\) が大きくなる)

となれば、誤差が小さくなります。

\(x=1\) と固定して考えてみます。

\(\displaystyle \frac{a+1}{a-1}=k\) とすると、

\(a=1+\displaystyle \frac{2}{k-1}\)

となります。

先ほどの考察から、\(a\) は大きくしたいので、\(k\) は小さくしたいことになります。

冒頭では \(k=2\) として失敗したわけです。

  • \(k\) を小さくする
  • \(\log{2}\) を登場させる

ということを考えると、次の候補は

\(k=\sqrt{2}\)

となると思います。

幸いにもこれで今回はうまくいきます。

ただ、\(k=\sqrt{2}\) とすると、真ん中の項は

\(\displaystyle \frac{1}{2} \log{2}\)

となるため、このあと辺々 \(2\) をかけます。

つまり、誤差も \(2\) 倍となるというリスクもあることは認識した方がいいかもしれません。

この他にも無理数の近似に頼らない方針を【解 2】で扱いました。

また、自然対数の近似値は覚えている人は少ないと思いますが、

\(\log_{10}{2}=0.3010\)

\(\log_{10}{3}=0.4771\)

という近似値は桁数問題などでよく目にするものでしょう。
(少なくとも自然対数の近似値よりは目にする機会が多いかなと思います)

つまり、

底の変換公式

\(a\) ,  \(b\) ,  \(c\)  を \(1\) 以外の正の実数とするとき

\(\log_{a}{b}=\displaystyle \frac{\log_{c}{b}}{\log_{c}{a}}\)

を用いて自然対数を常用対数へ変換して大体の近似値を考えてみるということを【総括】で触れています。

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