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実践演習 方程式・不等式・関数系

放物線上の4点によって作られる四角形の面積の最大【1990年度 横浜市立大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

放物線上の4点によって作られる四角形の面積の最大値を考える問題です。

すごくシンプルな問題に見えますが、完答するためには確固たる足腰が必要な問題です。

手際が悪いと案外打ち損じてしまう可能性も十分ありますが、地道に鍛錬を重ねてきた人は初見であってもキッチリと確保してくるでしょう。

そういった意味で合否の分かれ目となりそうなレベルの標準問題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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座標の設定

ひとまずは、

0 \lt d \lt c \lt 3 として

\mathrm{C} (c \ , \ c(3-c))\mathrm{D} (d \ , \ d(3-d))

などと \mathrm{C}\mathrm{D} の座標を設定しないことには面積を数式として立式できません。

ひとまずこのように座標設定をします。

目論見

上述の設定により、この四角形の面積を S とすると

  • Scd に依存する独立2変数関数

ということが見えます。

独立2変数関数の最大を考える際の最有力候補は

予選決勝法

です。

つまり、

予選

  • ひとまず1文字を固定して、1つだけ動かすなかでの最大値を考える。

次に

決勝

  • 予選で考えた「最大値たち」の中での最大値(king of Maxs)を求める。

という流れで最大値を考えることになります。

予選

今回は d を固定し、ひとまず c を動かしていきます。

d を固定するということは、図形的には \mathrm{D} を固定するということであり、S が最大となるときを考えるにあたっては

\triangle{\mathrm{BCD}} の面積が最大となる

というときを考えればよいということです。

この \triangle{\mathrm{BCD}} の面積については

という、成分表示されたベクトルで作られる三角形の面積公式を用いて捌いていけばよいでしょう。

各点の座標が手元にあれば、ベクトルの成分も手元にありますから。

細かな計算については解答 PDF でやっていますが、

\triangle{\mathrm{BCD}}=\displaystyle \frac{1}{2}(3-d)(c-d)(3-c)

と得られます。

d が固定されているとき、これは c についての2次関数となります。

展開し、平方完成をして最大値を求めてもよいのですが、展開するのが億劫なのであれば、形を崩さずに

積の微分法

によって仕留めるのも全然ありです。

微分して、増減表を作ることで、今回は

c=\displaystyle \frac{d+3}{2}

のときに \triangle{\mathrm{BCD}} の面積が最大であることが分かります。

決勝戦

いよいよ四角形 \mathrm{ABCD} の面積 S の最大値を考えます。

\triangle{\mathrm{ABD}}=\displaystyle \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot d(3-d)=\displaystyle \frac{3}{2} d(3-d)

であるため

\begin{eqnarray} S &=& \triangle{\mathrm{ABD}}+\triangle{\mathrm{BCD}} \\ &=& \displaystyle \frac{3}{2} d(3-d)+\displaystyle \frac{1}{2}(3-d)(\displaystyle \frac{d+3}{2}-d)(3-\displaystyle \frac{d+3}{2}) \end{eqnarray}

で、これを整理し、d の固定を外して d を動かすことで S の最大値を得ます。

詳しい計算は解答をご覧ください。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

(1) は例題で学んだことをそのまま試す類題です。

それに加えて、(2) で座標平面上での角度の扱いについても触れるという欲張りな内容です。

勉強している人は方針面では困らないでしょうが、いざやってみると

「えっ、結構大変じゃね?」

と返り討ちにあいかねないので、なめてかからないようにしてください。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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