実践演習 極限・微分積分系

微分と不等式証明【誘導を活用するための工夫】【2007年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

不等式の証明がテーマとなっていますが、オチの問題で使いそうなものが (1) ,  (2) に散りばめられています。

(1) ,  (2) 自体は完答が狙える問題です。

試験場においては(1) ,  (2) までは確保したいところです。

ただ、緊張した試験場では何が起こるか分かりません。

「試験場補正」がかかってもおかしくはないでしょう。

本問はまさに実践演習といった感じです。

特別な何かがあるわけではありませんが、大切な手法や考え方、その運用の仕方などがギュッと詰まっています。

そういった意味で勉強しがいのある良問です。

 

(以下ネタバレ注意)

 

 

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(1) については微分でしょう。絶対値を外すために

\(x \geq 1 \) のときと \(0 \lt x \leq 1\) のときで場合分けをしながら進めていきます。

多少省エネして二度手間を避ける方法なども考えられますが、工夫が思いつかなくてもタカがしれています。

(2) については色々な味付けが考えられます。

煮るなり、焼くなり、刺身にするなりお好きにどうぞ。

ちなみに生で食すような方針

\(r=1-p-q\) と文字消去する方針でも食べられなくはないです。

(緊張した試験場で工夫が思いつかなくても何とかなるような問題はありがたいですね。)

(3) については、(1) ,  (2) をいかに活用するかということを考える問題です。

(1) は絶対値がついていますが示すべき不等式には絶対値がついていません。

今回は \(b-a\) や \(\log \displaystyle \frac{b}{a}\) が同符号であることに注意すれば

\(\displaystyle \frac{ab}{b-a} \log \displaystyle \frac{b}{a}=\displaystyle \frac{ab}{|b-a|} |\log \displaystyle \frac{b}{a}|\)

であることが言え ,  (1) の活用が見込めて、話が進んでいくでしょう。

これが思いつかなかった場合、三角不等式 \(|X+Y| \leq |X|+|Y|\)、及び  \(X \leq |X|\) という不等式を用いて進めることもできます。
(ぜひ一度考えてみてほしいと思います。)

特別な何かが必要というわけではありませんが、大切な手法や考え方が多く含まれている「地味な良問」だと思います。

普段から派手な問題ばかりやっていると、逆にこういうスタミナが必要な問題に対して

「なんかうまい方法があるのか?」

などと策にこだわってしまいがちです。

普段の学習においては大切な態度ですが、試験場ではほどほどにしておかないと時間ばかり浪費しかねませんから冷静に対処してください。

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