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定点 \(\mathrm{A}\) , \(\mathrm{B}\) , \(\mathrm{C}\) が与えられ、
\(\angle{\mathrm{APC}}=\angle{\mathrm{BPC}}\)
となる点 \(\mathrm{P}\) の軌跡を考えます。
題意はシンプルですし、恐らく直感的に結論も見える人もいると思います。
ただ、
- その場所以外に点 \(\mathrm{P}\) は存在し得ない
ということを論じきろうと思うと、ある程度は式的なバックボーンが必要になります。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 平面座標において角度を扱おうと思うと という路線が考えられます。 今回はベクトルの内積を用いる方針、傾きと \(\mathrm{tan}\) の関係を用いる方針の2路線を検討します。 通常、傾きと \(\mathrm{tan}\) の関係を用いる場合、 というのが得策で、これによりなす角を統一的に扱うことができます。 例えば というように、水平ラインから反時計回りに測るわけです。 これにより、なす角 \(\beta-\alpha\) について \(\tan{(\beta-\alpha)}=\displaystyle \frac{\tan{\beta}-\tan{\alpha}}{1+\tan{\beta} \tan{\alpha}}\) として計算できるわけです。 しかし、この計算結果、\(\tan{(\beta-\alpha)}\) の値が負として出てきた場合、(図B)のように \(\beta-\alpha\) が鈍角ということになります。 通常、なす角と言えば、小さい鋭角の方を指しますから、この場合 \(\pi\) から引いたものをなす角と見なすわけです。 今回の \(\angle{\mathrm{APC}}\) , \(\angle{\mathrm{BPC}}\) は図形的な角度であり、符号付きの角度ではないため、この路線は色々ウルサイことになりそうです。 \(0\) から \(\pi\) までの範囲の各 \(\alpha\) , \(\beta\) について \(\alpha=\beta \ \ \Leftrightarrow \ \ \cos{\alpha}=\cos{\beta}\) であり、角度と \(\mathrm{cos}\) の値が1対1対応します。 ベクトルの内積を用いる方針は、計算が重たくなる傾向にありますが、今回はベクトルの内積を用いて \(\mathrm{cos}\) 経由で処理した方が得策です。 \(\mathrm{P}\) \((X \ , \ Y)\) とおき、 \(\cos{\angle{\mathrm{APC}}}=\cos{\angle{\mathrm{BPC}}}\) すなわち $$\displaystyle \frac {\overrightarrow{\mathrm{PA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{PC}}}{|\overrightarrow{\mathrm{PA}}||\overrightarrow{\mathrm{PC}}|}=\displaystyle \frac {\overrightarrow{\mathrm{PB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{PC}}}{|\overrightarrow{\mathrm{PB}}||\overrightarrow{\mathrm{PC}}|}$$ を計算・整理していくと \(\sqrt{X^{2}+Y^{2}+1+2X}(X^{2}-X+Y^{2}+Y)=\sqrt{X^{2}+Y^{2}+1-2X}(X^{2}+X+Y^{2}+Y)\) という部分までは整理できると思います。 ベクトルで処理しようとした人の多くはここで手が止まってしまう可能性が大きいでしょう。 ここから手を進めるためには当然、ルートを捌くために、両辺2乗することを考えます。 ただ、勝手に2乗すると 同値性が崩れる ということになってしまいます。 同値性が保たれるためには ということが必要となってきます。 この下で両辺を2乗すると \((X^{2}+Y^{2}+1+2X)(X^{2}-X+Y^{2}+Y)^{2}=(X^{2}+Y^{2}+1-2X)(X^{2}+X+Y^{2}+Y)^{2}\) ということになります。 「これを展開するの?」 と泡を吹きそうになりますが、現実的にこれを捌ききるために一工夫します。 多分、聞けば「そんなことか」と思うでしょうが、実際試験場で冷静に処理できるかというと難しいと思います。 ここから先は考えた上で、【解答】をご確認ください。座標平面上での角度の扱い
傾きと \(\mathrm{tan}\) の関係を用いる方針
ベクトルの内積を用いる方針
この後の処理