実践演習 方程式・不等式・関数系

周期関数【1999年度 山梨大学ほか】

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周期関数に関する定義と、それにまつわる基本事項、および周期関数か否かの判断について考える問題です。

例題では誘導も兼ねた基本事項の確認がありますが、類題では周期関数かどうかの判断に焦点が当てられており、基本的にはノーヒントでの判断を要求されます。

(以下ネタバレ注意)

 

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例題について

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周期関数とは

一般に \(0\) でない定数 \(p\) に対して

\(f(x+p)=f(x)\)

を満たすとき、関数 \(f(x)\) は \(p\) を周期とする周期関数と言います。

このとき、

  • \(f(x+2p)=f(x)\)
  • \(f(x+3p)=f(x)\)
  • \(f(x-p)=f(x)\)

なども成り立つため、\(2p\) ,  \(3p\) ,  \(-p\) なども周期ですが、文脈上周期と言えば正の周期のうち最小のものを指すこともあります。

このため、正の周期のうち最小のものは「基本周期」と呼ぶこともあります。

(1) について

\(\sin{\theta}\) の周期は \(2\pi\) です。

\(a\) を正の定数としたとき、\(\sin{a\theta}\) の周期は \(\displaystyle \frac{2\pi}{a}\) となります。

角速度が \(a\) 倍となれば、1周するのにかかる時間(周期)は \(\displaystyle \frac{1}{a}\) 倍になることから分かると思います。

したがって、今回の \(\sin(\sqrt{2}x)\) の周期は \(\displaystyle \frac{2\pi}{\sqrt{2}}\) , すなわち \(\sqrt{2}\pi\) ということになります。

式的には \(f(x)=\sin{\sqrt{2}x}\) に対して

\(f(x+\sqrt{2}\pi)=f(x)\)

であることを言えばよいわけです。

(2) について

そりゃそうだろと当たり前に感じるかもしれませんが、証明問題であるためそれをどのように言語化するかが問題です。

ある意味商と余りのような感覚で

任意の実数 \(x\) は整数 \(n\) 及び \(0 \leq r \lt p\) を満たす \(r\) を用いて

\(x=np+r\)

と表せる。

ということを用いると、

$$\begin{eqnarray}
|f(x)| &=& |f(np+r)| \\
&=& |f(r)| \\
&\leq& M
\end{eqnarray}$$

ということになり、題意が示されます。

(3) について

微分可能性が保証されているのであれば

\(f(x+p)=f(x)\)

の両辺を \(x\) で微分すると

\(f'(x+p)=f'(x)\)

を得て、導関数 \(f'(x)\) も周期関数であることが即座に分かります。

(4) について

(2) ,  (3) を誘導と見るのであれば、\(f(x)=\sin{(x^{2})}\) が周期関数であると仮定し、(2) や (3) の結果に反するような矛盾を狙う背理法を目論みたくなるでしょう。

\(f(x)=\sin{(x^{2})}\) が周期関数であると仮定します。

ひとまず、(3) の結果である、

  • 周期関数を微分しても周期関数

という結果を考えると

\(f'(x)=2x\cos{(x^{2})}\) も周期関数

ということが言えます。

\(0 \leq x \leq p\) という範囲で \(|f'(x)| \leq M\) と有限の値で押さえられるため、(2) の結果から全ての実数 \(x\) に対して

\(|f'(x)| \leq M\)

と、有限の値で上から押さえられることになります。

しかし、十分大きな \(x\) に対して \(|f'(x)|\) は発散しますから、(2) の有限確定性に矛盾することになります。

したがって、\(f(x)=\sin{(x^{2})}\) は周期関数ではないことになります。

「\(\mathrm{sin}\) の服を着ていれば周期関数だろ」という乱暴な考えをもっていた人からすると、この結果は意外に思えるかもしれません。

類題について

類題はこちら(再掲載)(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

本問は「基本周期」を単に周期と呼んでいます。

周期を見つけること自体はそこまで難しくはないでしょうが、正の周期のうち最小であることを言う部分にてこずるかもしれません。

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