問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)
円周上の3点によって直角三角形ができるための必要十分条件を考える論証問題です。
幾何的に言えば
\(\triangle{\mathrm{ABC}} が直角三角形 \Leftrightarrow \mathrm{AB} \ , \ \mathrm{BC} \ , \ \mathrm{CA} のどれかが直径\)
という同値性は言えるでしょう。
それをもう少し高級に主張しています。
勉強している人からすれば、今回主張されている同値性は
「そりゃそうだろ」
と納得いくものなのですが、それが見えなくてもセオリーに従って着実に進んでいけますから、ひとまずはしっかりと解ききるスタミナがあるかどうかを試してみましょう。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む \(\triangle{\mathrm{ABC}}\) が直角三角形であるとき というように、 ということになります。 このことから のどれかが成立します。 つまり のどれかが成り立つわけです。 どれが成り立つにせよ、 \(|\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}|=1\) と言えます。 ひとまずは \(|\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}|^{2}=1\) という2乗処理をしたいところです。 ベクトルで言う大きさの2乗処理は余弦定理を用いるに等しい作業ですから。 平面(2次元)では1次独立な2本のベクトルがあれば、その平面上の任意のベクトルを表すことができます。 (UFOキャッチャーが2つのボタンで十分であることを想像してみてください) そこで、実数 \(s\) , \(t\) を用いて \(\overrightarrow{\mathrm{OC}}=s\overrightarrow{\mathrm{OA}}+t\overrightarrow{\mathrm{OB}}\) などと表すことを考えていきます。 元々2次元の話なのだから、\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\) , \(\overrightarrow{\mathrm{OB}}\) の2本で色々考えれば十分だろ、という態度です。 注意
今回主役となる \(\overrightarrow{\mathrm{OA}}\) , \(\overrightarrow{\mathrm{OB}}\) が平行か否かという場合分けが発生します。 UFOキャッチャーでも2つのボタンがともに平行であれば叩き壊したくなるでしょう。 ベクトルの分野において、 という格言は、この分野のほとんどの問題を倒せてしまう強力な道標です。 \(\triangle{\mathrm{ABC}}\) の外心を \(\mathrm{O}\) とし、 \(\overrightarrow{\mathrm{OH}}=\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}}\) で定まる点 \(\mathrm{H}\)を考えます。 このとき $$\begin{eqnarray} $$\begin{eqnarray} $$\begin{eqnarray} となり、これは ということを意味します。 このことから、示すべきことは 平面上の点 \(\mathrm{O}\) を中心とする半径 \(1\) の円に内接する\(\triangle{\mathrm{ABC}}\)の垂心\(\mathrm{H}\) に対して ということになります。 ということを考えると、本問で主張されている同値性はある程度納得のいくものでしょう。(1) について
(2) について
ウンチク
\overrightarrow{\mathrm{AH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{BC}}&=&(\overrightarrow{\mathrm{OB}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}})\cdot (\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}})\\
&=& |\overrightarrow{\mathrm{OC}}|^{2}-|\overrightarrow{\mathrm{OB}}|^{2}\\
&=& 0
\end{eqnarray}$$
\overrightarrow{\mathrm{BH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AC}}&=&(\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OC}})\cdot (\overrightarrow{\mathrm{OC}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}})\\
&=& |\overrightarrow{\mathrm{OC}}|^{2}-|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^{2}\\
&=& 0
\end{eqnarray}$$
\overrightarrow{\mathrm{CH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AB}}&=&(\overrightarrow{\mathrm{OA}}+\overrightarrow{\mathrm{OB}})\cdot (\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OA}})\\
&=& |\overrightarrow{\mathrm{OB}}|^{2}-|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^{2}\\
&=& 0
\end{eqnarray}$$