実践演習 方程式・不等式・関数系

内積と軌跡【軌跡の範囲】【2002年度 名古屋大学】

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本問の料理名は

軌跡のベクトル風味仕立て~範囲のスパイスとともに~

でございます。

定番の味付けの中に、ピリッとアクセントの効いた味わいをお楽しみください。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

まずは前菜でございます。

点 \(\mathrm{A}\) \((a \ , \ a^{2})\) ,  \(\mathrm{B}\) \((b \ , \ b^{2})\) という設定により、

\(t=ab+(ab)^{2}\)

という\(ab\) を一つの塊と見た 2 次関数として \(t\) を捌きます。

(2) について

メインディッシュでございます。

\(\mathrm{P}\) の軌跡が欲しいのであれば、

\(\mathrm{P}\) \((X \ , \ Y)\)

とおき、\(X\) ,  \(Y\) の関係式を Get しにいくことになります。

$$\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{OP}} &=& \left(
\begin{array}{c}
a \\
a^{2}
\end{array}
\right)+\left(
\begin{array}{c}
b \\
b^{2}
\end{array}
\right) \\
&=& \left(
\begin{array}{c}
a+b \\
a^{2}+b^{2}
\end{array}
\right)
\end{eqnarray}$$

ということから

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
X=a+b \\
Y=a^{2}+b^{2}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

となります。

ここから、\(a\) ,  \(b\) を消去し、\(X\) ,  \(Y\) の関係式を Get しにいきます。

目につくのは対称式の処理であり、

$$\begin{eqnarray}
Y &=& (a+b)^{2}-2ab \\
&=& X^{2}-2ab
\end{eqnarray}$$

としたくなるでしょう。

\(ab\) については、\(t=2\) ,  すなわち

\((ab)^{2}+ab-2=0\)

を得ます。

これは

\((ab+2)(ab-1)=0\)

ですから、

\(ab=-2 \ , \ 1\)

を得ます。

\(ab=-2\) のとき

このとき

\(Y=X^{2}+4\)

という関係式を得ます。

これにより、点 \(\mathrm{P}\) は放物線

\(y=x^{2}+4\)上に存在する

ということが言えます。

問題は

点 \(\mathrm{P}\) が、この放物線上を丸ごと動けるかどうか

という軌跡の限界(範囲)について考えなければならないことです。

\(a\) ,  \(b\) を消去して \(X\) ,  \(Y\) の関係式を得ている以上、

ポイント

文字が消えたら遺産の整理

という大切な定石を守りましょう。

生前持っていた \(a\) ,  \(b\) の条件を \(X\) ,  \(Y\) に受け継がせます。

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+b=X \\
ab=-2
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

ですから、解と係数の関係より、\(a\) ,  \(b\) は2次方程式

\(u^{2}-Xu-2=0\)

の解として与えられます。

もちろん \(a\) ,  \(b\) は「実数」として存在するわけですから、判別式が \(0\) 以上とならなければなりません。

判別式を計算すると

\(X^{2}+8\)

ですから、任意の実数 \(X\) に対して判別式が正となります。

つまり、点 \(\mathrm{P}\) は先ほどの

  • 放物線 \(y=x^{2}+4\) 全体

を動くことができるわけです。

\(ab=1\) のとき

今度は

\(Y=X^{2}-2\)

という関係式を得ますから、点 \(\mathrm{P}\) は

放物線 \(y=x^{2}-2\) 上に存在する

ということが言えます。

先ほど同様、軌跡の限界(範囲)について考えていきます。

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a+b=X \\
ab=1
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

ですから、解と係数の関係より、\(a\) ,  \(b\) は2次方程式

\(u^{2}-Xu+1=0\)

の解として与えられます。

\(a\) ,  \(b\) は「実数」として存在するわけですから、判別式が \(0\) 以上とならなければなりません。

\(X^{2}-4 \geq 0\)

すなわち

\(X \leq -2 \ , \ 2 \leq X\)

という \(X\) についての注文が入ります。

これにより点 \(\mathrm{P}\) は

  • 放物線 \(y=x^{2}-2\) の \(x \leq -2 \ , \ 2 \leq x\) の範囲

を動き得ることになります。

通常よくある文字消去とは異なり、対称式の処理によって \(a\) ,  \(b\) の文字消去をしているため、遺産の整理に手慣れていないかもしれません。

そういった意味できっちりと差が付くと思われます。

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