仮想難関大

仮想難関大(オリジナル予想問題)【不等式の証明~形を活かす~】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

仮想難関大シリーズということで、東大、京大をはじめとする旧帝大、東工大、国公立大学医学部医学科などの難関国公立大を想定したオリジナルの自作問題です。

「手垢の付いていない問題で力試しがしたい」

という方はぜひご活用ください。

今回は不等式の証明問題です。

アイデア一つでスパッと斬れると気持ちよいと思います。

ただし、インスピレーションの素となる部分が極力匂わないように、巧妙に消臭していますので、

「解かせる気あるのか」

というクレームは覚悟の上です。

「いや、これ何が難しいの?」

というウルトラCの解法を思いついた場合、ご一報ください。

(以下ネタバレ注意)

 

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示すべき形

示すべき不等式の分母を払うと

\((a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}+n)^{2} \geq 4n ({a_{1}}^{2}+{a_{2}}^{2}+\cdots+{a_{n}}^{2})\)

すなわち

\((a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}+n)^{2}-4n ({a_{1}}^{2}+{a_{2}}^{2}+\cdots+{a_{n}}^{2}) \geq 0 \)

という不等式となります。

この

\(〇^{2}-4□ \geq 0\)

という示すべき不等式の形を見てあるものをインスピレーション出来るでしょうか?

そう、

  • (2次方程式の) 判別式

です。

ここから

\(x^{2}+(a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}+n)x+n({a_{1}}^{2}+{a_{2}}^{2}+\cdots+{a_{n}}^{2})=0\)

という2次方程式を考えたくなると思います。

この2次方程式の判別式 \(D\) が

\(D=(a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}+n)^{2}-4n ({a_{1}}^{2}+{a_{2}}^{2}+\cdots+{a_{n}}^{2})\)

です。

目指すべきは \(D \geq 0\) であるため、

\(f(x)=x^{2}+(a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n}+n)x+n({a_{1}}^{2}+{a_{2}}^{2}+\cdots+{a_{n}}^{2})\)

とおいたとき、

  • \(f(x)=0\) が少なくとも1つ実数解をもつ

ということが言えればいいわけです。

実数解をもつことを示すために何が言えればいいのか

通常は、

  • 実数解をもつことを示すために、判別式を調べる

という流れになりますが、今回は

  • 判別式が \(0\) 以上であることを示すために、実数解をもつことを示す

という逆の流れです。

したがって、\(f(x)\) を平方完成してもあまり意味がありません。

\(y=f(x)\) のグラフは下に凸の放物線ですから、

  • \(f(☆) \leq 0\) となるような \(☆\) を見つける

というのが最も直接的な方法でしょう。

「見つける」というのは、文字通り

  • 何か1つでも見つけたら勝ち

ということです。

ここから先は、多少試行錯誤が必要だと思います。

何か1つ見つけたら勝ちと言えども、見つかるかどうかというのは案外差がつく要素かもしれません。

ひとまずここまでにしておきます。

詳しくは解答PDFを確認してください。

同様の考え方をする有名テーマ

本問と同様に、形から判別式をインスピレーションする有名テーマとしては

コーシー・シュワルツの不等式

があります。

それについては

参考コーシー・シュワルツの不等式の証明【示すべき形から方針を決定する】【2011年度 大分大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)   コーシー・シュワルツの不等式と呼ばれる有名不等式です。 今は範囲外ですが、行列という分野の中で「ケーリー・ハミルトンの定理 ...

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も参考にしてください。

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