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三角関数の和の導出について考える問題です。
少し古い問題ですが、今回の話題を扱うにあたりよい例題ということでもってきました。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む ラグランジュの三角恒等式 \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}\cos{k\theta}=\displaystyle \frac{\cos{\displaystyle \frac{n\theta}{2}\sin{\displaystyle \frac{(n+1)\theta}{2}}}}{\sin{\displaystyle \frac{\theta}{2}}}\) \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}\sin{k\theta}=\displaystyle \frac{\sin{\displaystyle \frac{n\theta}{2}\sin{\displaystyle \frac{(n+1)\theta}{2}}}}{\sin{\displaystyle \frac{\theta}{2}}}\) という恒等式が知られています。 ※読者様のご指摘で打ち間違いが発覚し、修正しました。ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。 ラグランジュの三角恒等式の導出については ド・モアブルの定理 を活用します。 三角関数に関するシグマ計算において、ド・モアブルの定理を用いて実部・虚部を比較するということは常套手段の1つです。 \(z=\cos{\theta}+i\sin{\theta}\) に対して、ド・モアブルの定理から \(z^{k}=\cos{k\theta}+i\sin{k\theta}\) です。 これより \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}z^{k}=\displaystyle \sum_{k=0}^{n}(\cos{k\theta}+i\sin{k\theta})\) です。 つまり、 \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}z^{k}=(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}\cos{k\theta})+(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}\sin{k\theta})i\) なので、 ということになります。 じゃあ、\(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}z^{k}\) はというと、当然等比数列の和の公式から \(z \neq 1\) に対して \(\displaystyle \sum_{k=0}^{n}z^{k}=\displaystyle \frac{1-z^{n+1}}{1-z}\) です。 (本問においては、(1) でこの等比数列の和を準備しなさいという設問がありました。) なので、結局は ということになります。 \(\displaystyle \frac{1-z^{n+1}}{1-z}=\displaystyle \frac{1-(\cos{(n+1)\theta}+i\sin{(n+1)\theta})}{1-(\cos{\theta}+i\sin{\theta})}\) で、コイツをどう捌くかが問題です。 下手にやってしまうと、収拾がつかなくなります。 本問のように証明形式で結論が見える形であれば、 という作戦が有効です。 このあたりは、【解答】に注釈を入れる形で解説しています。 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \sin{k\theta}\) について考える問題で、テーマとしては比較的 ... 続きを見る 例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題1はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題2はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 1の ... 続きを見る なども参考にしてください。ラグランジュの三角恒等式について
導出の流れについて
\(\displaystyle \frac{1-z^{n+1}}{1-z}\) の計算について
本問に関わる関連問題について
参考sinの和【導出過程から応用例まで】【1994年度 和歌山大学】
参考1の累乗根とド・モアブルの定理【2003年度神戸大学ほか】