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ペル方程式の第4講は
「ペル方程式の解と近似」
という話題を扱います。
この話題を扱ううえでうってつけの例題です。
ペル方程式の解を用いて、\(\sqrt{2}\) の近似の精度をよくできるということを証明するというオチです。
初見であっても適切な誘導があり、割と親切な設計となっているため完答を狙いたいところです。
このシリーズの一覧はこちら
ペル方程式 第1講 【ペル方程式とは】【ペル方程式の解とn乗展開】【2010年度 三重大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 表向きは数学的帰納法の標準的な練習問題です。 本問を解くだけならば、そこまで難しい話ではありません。 (『数学的帰納法により示せ』と方針まで書いてくれています。) ただ、それで終わらすにはもったいない話題である「ペル方程式」を扱った問題なので、少しふれておこうと思い、今回シリーズものとしてテーマ別演習で扱うことにしました。 このシリーズの一覧はこちら ペル方程式とは \(x^2-Dy^2=\pm 1\) ( \( ...
ペル方程式 第2講 【ペル方程式の解と二項展開】【1994年度 東京工業大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「ペル方程式」シリーズ第2弾です。 このシリーズの一覧はこちら 今回は一見ペル方程式を前面に押し出しているわけではないですし、知識の有無が出来不出来には直結しません。 ただ、前回の内容を学習した状態で、本問を最後まで解ききってみると、一本の線で何かが繋がる感覚になると思います。 以下は単純に「純粋にこの問題を解く」という観点の内容です。 ( 以下ネタバレ注意 ) +クリック(タップ)して続きを読む 帰 ...
ペル方程式 第3講【ペル方程式とブラーマグプタの恒等式】【1998年度 お茶の水女子大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「ペル方程式」シリーズ第3弾です。 このシリーズの一覧はこちら 併せて学習すると、理解が深まると思います。 さて、今回はペル方程式を不思議な恒等式(ブラーマグプタの恒等式)からアプローチするという問題です。 このブラーマグプタの恒等式をどう使っていくか、という活用力が問われます。 式の形を観察する力や、その形から次の一手をインスピレーションする力など、脳の様々な場所が刺激されると思います。 ぜひトライしてみてください。 &nbs ...
ペル方程式 第4講【ペル方程式の解と近似】【1984年度 一橋大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ペル方程式の第4講は 「ペル方程式の解と近似」 という話題を扱います。 この話題を扱ううえでうってつけの例題です。 ペル方程式の解を用いて、\(\sqrt{2}\) の近似の精度をよくできるということを証明するというオチです。 初見であっても適切な誘導があり、割と親切な設計となっているため完答を狙いたいところです。 このシリーズの一覧はこちら (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について このシリーズで散々扱っ ...
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む このシリーズで散々扱ってきた連立漸化式の作成であり、ここまできたら迷う余地はありません。 $$\begin{eqnarray} とすることで、 $$\begin{eqnarray} という結論を得ます。 ただし、単純に比較してよいのかという問題はありますので、解答ではそのあたりをキッチリと詰めます。 (1) で得られる $$\begin{eqnarray} という連立漸化式から $$\begin{eqnarray} と、等比数列の構造を得ます。 \((1+\sqrt{2})^{1}=1+1\sqrt{2}\) より \(x_{1}=1\) , \(y_{1}=1\) です。 つまり ということなので、 \({x_{n}}^{2}-2{y_{n}}^{2}=(-1)^{n}\) を得て、題意が示されます。 (1) で漸化式が得られていますから、漸化式と相性のよい数学的帰納法でも示せます。 それについては【解2】で触れています。 いよいよ、この問題のオチです。 よい近似値 ということがどういうことかを数式的にどのように表現するかが問題です。 良い近似値ということは 誤差が小さい ということです。 つまり、注目すべきは \(|\displaystyle \frac{x_{n}}{y_{n}}-\sqrt{2}|\) という誤差を表す式です。 これに注目し、 \(|\displaystyle \frac{x_{n}}{y_{n}}-\sqrt{2}| \gt |\displaystyle \frac{x_{n+1}}{y_{n+1}}-\sqrt{2}|\) ということが言えれば、誤差が小さくなり、よい近似値であるということの証明となります。 今回、色々な別解を載せていますが、結局はこの「誤差が小さくなる」という目標に向かって進めていくという方針は変わりません。(1) について
(1+\sqrt{2})^{n+1} &=& (1+\sqrt{2})^{n}(1+\sqrt{2}) \\
&=& (x_{n}+y_{n}\sqrt{2})(1+\sqrt{2})\\
&=& (x_{n}+2y_{n})+(x_{n}+y_{n})\sqrt{2}
\end{eqnarray}$$
\left\{
\begin{array}{l}
x_{n+1} = x_{n}+2y_{n} \\
y_{n+1} = x_{n}+y_{n}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$(2) について
\left\{
\begin{array}{l}
x_{n+1} = x_{n}+2y_{n} \\
y_{n+1} = x_{n}+y_{n}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
{x_{n+1}}^{2}-2{y_{n+1}}^{2} &=& (x_{n}+2y_{n})^{2}-2(x_{n}+y_{n})^{2} \\
&=& -({x_{n}}^{2}-2{y_{n}}^{2})
\end{eqnarray}$$
路線2:数学的帰納法
(3) について