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実践演習 幾何・ベクトル系

グラムシュミットの直交化法【2012年度 東京農工大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

いかにも「何かありそう」な雰囲気を感じるでしょう。

グラム・シュミットの直交化法と呼ばれるものが背景にありますが、知らなくても解けるように、最初から設定してくれています。

「解く」という観点から言えば、基礎がしっかりしていれば言われていることをやっているうちに終わってしまうと思います。

そういった意味で、表面的には計算問題の側面が強いと思います。

ただ、せっかくなので、これらの設定がどのようになされたのかという部分まで触れようかと思います。

(以下ネタバレ注意)

 

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解くだけであれば

(1) について

\vec{a}\vec{p}\vec{q} については与えられています。

まずここから \alpha\beta が Get できます。

ここから次に \vec{b} が Get でき、それができたら \vec{c} が Get できます。

(2) について

体積計算に必要な \vec{a}\vec{b}\vec{c}  に関する大きさや内積を計算していくうちに

  • \vec{a} \cdot \vec{b}=0
  • \vec{b} \cdot \vec{c}=0
  • \vec{c} \cdot \vec{a}=0

という強力な情報が Get できます。

これより

\vec{a}\vec{b}\vec{c}  が互いに直交する

ということになりますから、体積を得るために必要な底面積、高さを得ることは容易です。

グラム・シュミットの直交化法について

今回設定された

  • \vec{b}=\vec{p}-\alpha\vec{a}
  • \vec{c}=\vec{q}-\beta\vec{a}-\displaystyle \frac{\vec{q}\cdot \vec{b}}{|\vec{b}|^{2}} \vec{b}

という作為バリバリの設定がどこからやってきたのかについて、気になる人は気になるでしょう。

今回、

\vec{a}\vec{p}\vec{q}

という3本のベクトルから、直交する

\vec{a}\vec{b}\vec{c}

を得ました。

このように、一般に

\vec{x_{1}}\vec{x_{2}}\vec{x_{3}}

という3本のベクトルから、直交する

\vec{u_{1}}\vec{u_{2}}\vec{u_{3}}

というベクトルを得る有名な方法として

グラム・シュミットの直交化法

という手法があります。

やり方だけ言ってしまえば

  • \vec{u_{1}}=\vec{x_{1}}
  • \vec{u_{2}}=\vec{x_{2}}-\displaystyle \frac{\vec{u_{1}} \cdot \vec{x_{2}}}{|\vec{u_{1}}|^{2}}\vec{u_{1}}
  • \vec{u_{3}}=\vec{x_{3}}-\displaystyle \frac{\vec{u_{1}} \cdot \vec{x_{3}}}{|\vec{u_{1}}|^{2}}\vec{u_{1}}-\displaystyle \frac{\vec{u_{2}} \cdot \vec{x_{3}}}{|\vec{u_{2}}|^{2}}\vec{u_{2}}

と設定すれば、これら \vec{u_{1}}\vec{u_{2}}\vec{u_{3}} は互いに直交します。

なぜこの設定で上手くいくかについては、正射影ベクトルに関する基本が肝になるのですが、詳しくは【総括】の中で触れてあります。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

例題とは少しテイストが違います。

先ほど正射影ベクトルが肝ということを述べました。

正射影ベクトルへのアプローチが例題と類題との違いですが、根っこにあるのはグラムシュミットの直交化法です。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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