実践演習 整数系

3次方程式と整数解【違和感や作為を読み取る】【1970年度 防衛大学校】

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古い問題ですが、3次方程式が整数解をもつという設定はよくある設定であり、今でも十分に演習価値のある問題です。

本問は手なりに進めていくと、「ん?」と思う部分が自然に出てくるはずです。

基本的には違和感やこの問題の作為を見落とさない観察力の問題なのですが、見るべきところを見る経験に裏打ちされる要素も若干は含んでいるでしょう。

(以下ネタバレ注意)

 

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方程式と解に関する路線

方程式と解に関する問題においては、

  • 代入
  • 解と係数の関係

という2大路線が考えられます。

今回は具体的に解が与えられているわけではなく、自分で3つの正の整数解を \(\alpha\) ,  \(\beta\) ,  \(\gamma\) などと設定せざるを得ない状況です。

なので、今回は解と係数の関係を用いて捌いていくことを目論みます。

これにより

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
\alpha+\beta+\gamma=\displaystyle \frac{3a}{2} \cdots ① \\
\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=a+7 \cdots ② \\
\alpha \beta \gamma=-\displaystyle \frac{a^{2}-9a+8}{2} \cdots ③
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

という関係式を得ることになります。

違和感その1

これら3式を観察してみると、「ん?」と思う部分があると思います。

まず、\(①\) についてです。

「\(整数=分数\)?」

と思えればしめたもので、これにより

\(a\) が偶数

ということが分かります。

違和感その2

\(③\) についても違和感を覚えるでしょうか?

もちろん「\(整数=分数\)?」となりますが、先ほどと違い、\(③\) の右辺は \(a\) が偶数でも奇数でも分子は偶数となるため、右辺は見た目分数でも実は整数となっています。

\(③\) についての違和感は

「\(正の整数=-☆\) ?」

という符号に関する違和感です。

これにより、分子の \(a^{2}-9a+8\) の符号は \(a^{2}-9a+8 \lt 0\) 、すなわち

\((a-1)(a-8) \lt 0\)

ということになり、この2次不等式を解くことで

\(1 \lt a \lt 8\)

と、整数 \(a\) の範囲が絞られる結果を得ます。

これだけでも半分以上勝ったようなものなのですが、今回は先ほど得た

\(a\) が偶数

ということからさらに

\(a=2 \ , \ 4 \ , \ 6\)

と絞られることになります。

ここまでくれば、あとは個別検証で済むことになり、消化試合に入ります。

人によっては

人によっては、与えられた3次方程式の係数が非常に作為的に思える人もいると思います。

特に、定数項の \(a^{2}-9a+8\) が

\((a-1)(a-8)\)

と因数分解できるということに目を付けたという人もいるでしょう。

定数項というのはいわば \(f(0)\) のことです。

今回3つの正の整数解をもつということから、

というグラフ的なイメージをもって、

\(f(0) \lt 0\) じゃないか?

と睨むことで

\(1 \lt a \lt 8\)

に辿り着くこともできるでしょう。

いずれにせよ、違和感や作為を感じ取り、そこから何とか攻め落とせないか目を光らせる姿勢は培っておきたいものです。

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