実践演習 数列系

2変数の漸化式【1996年度 北海道大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

\(n\) ,  \(m\)  という2変数が絡む漸化式の問題です。

試験場だと「ウッ」となるやもしれません。

ふたを開ければ、難関大受験生にとっては基本の処理となりますが、

  • ふたがそれなりに重い
  • ふたが開けられても、その後の処理は差がつく

という要素をもっており、完答するためには「確かな力」が必要となります。

試験場で見慣れない未知の問題に出会ったら、という耐性をつけるという想定で臨んでみてください。

(以下ネタバレ注意)

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全称命題と捉える

任意の正の整数 \(m\) に対して

\((n+2m)a_{n}-(m+2n)a_{m}+(m-n)a_{n+m}=0\)

が成立するのであれば、

じゃあ、\(m=1\) のときも成立するよね?

と、話を進めます。

そうなると、

\((n+2)a_{n}-(2n+1)a_{1}+(1-n)a_{n+1}=0\)

が成り立つ必要があるわけです。

(1) について

\(a_{1}=0\) という条件を考えると、

\((n-1)a_{n+1}=(n+2)a_{n}\)

が成り立つ必要があります。

ここから先は漸化式の処理という内容になります。

この漸化式は

\((n-1)a_{n+1}=(n+2)a_{n}\)

のまま見るか

\(a_{n+1}=\displaystyle \frac{n+2}{n-1}a_{n}\)

と見るか、という2路線あるでしょう。

次の一手が見やすい形は人それぞれです。

路線1

\((n-1)a_{n+1}=(n+2)a_{n}\)

から、両辺 \((n-1)n(n+1)(n+2)\) で割ると

\(\displaystyle \frac{a_{n+1}}{n(n+1)(n+2)}=\displaystyle \frac{a_{n}}{(n-1)n(n+1)}\)

となり、\(b_{n}=\displaystyle \frac{a_{n}}{(n-1)n(n+1)}\) とおくと

\(b_{n+1}=b_{n}\)

となり、数列 \(\{b_{n}\}\) は定数列となります。

一発でこれが見えればいいですが、順序だてて考えてこの路線で処理することもできます。

この順序だてた考え方については【総括】で少し触れてあります。

路線2

\(a_{n+1}=\displaystyle \frac{n+2}{n-1}a_{n}\)  (\(n \geq 2\))

という漸化式を順次用いて

$$\begin{eqnarray}
a_{n} &=& \displaystyle \frac{n+1}{n-2}a_{n-1} \\
&=& \displaystyle \frac{n+1}{n-2} \cdot \displaystyle \frac{n}{n-3}a_{n-2}\\
&=& \displaystyle \frac{n+1}{n-2} \cdot \displaystyle \frac{n}{n-3} \cdot \displaystyle \frac{n-1}{n-4}a_{n-3}\\
\end{eqnarray}$$

と、どんどん番号を下げていくと、やがて

\(a_{n}=\displaystyle \frac{n+1}{n-2} \cdot \displaystyle \frac{n}{n-3} \cdot \displaystyle \frac{n-1}{n-4} \cdot \displaystyle \frac{n-2}{n-5} \cdot \displaystyle \frac{n-3}{n-6} \cdot \displaystyle \frac{n-4}{n-7} \cdot \cdots \cdot  \displaystyle \frac{4}{1} \cdot a_{2}\)

となります。

約分により生き残る項を考えて整理すると

\(a_{n}=\displaystyle \frac{(n+1) n (n-1)}{3 \cdot 2 \cdot 1}a_{2}\)

となり、条件 \(a_{2}=6\) を考えると

\(a_{n}=(n+1) n (n-1)\)

を得ます。

(2) について

\((n+2)a_{n}-(2n+1)a_{1}+(1-n)a_{n+1}=0\)

において、今度は \(a_{1}=1\) という条件になりますから

\((n-1)a_{n+1}=(n+2)a_{n}-(2n+1)\)

となります。

大枠の方針は (1) と大きくは変わりません。

両辺 \((n-1)n(n+1)(n+2)\) で割ると

\(\displaystyle \frac{a_{n+1}}{n(n+1)(n+2)}=\displaystyle \frac{a_{n}}{(n-1)n(n+1)}-\displaystyle \frac{2n+1}{(n-1)n(n+1)(n+2)}\)

と変形することで、階差数列を得ることになります。

階差数列の処理で現れるシグマ計算については

部分分数分解による「和の中抜け」

が狙えます。

全体としての注意

全称命題と捉えて

\(m=1\) でも成り立つ必要がある

として導出した \(a_{n}\) が

その他の任意の正の整数 \(m\) に対してちゃんと

\((n+2m)a_{n}-(m+2n)a_{m}+(m-n)a_{n+m}=0\)

が成り立つかどうかについてはきちんと確認しなければなりません。

ふたを開けた後の基本的処理

全称命題としての考え方をしたあとは

  • 漸化式としての処理

また、その漸化式の処理の中で

  • シグマ計算

などの基礎が求められます。

そのあたりの代表的な典型パターンについては

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