実践演習 極限・微分積分系

面積評価の工夫【k乗数の相加平均】【1990年度 お茶の水女子大学】

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\(1^{k}\) から \(n^{k}\) までの \(k\) 乗数の相加平均に関する不等式証明の問題です。

見慣れない記号に圧倒されるかもしれませんが、紐解いていけば、これまでの学習が活かせるような形が現れるはずで、それを見落とさずに捌いていきましょう。

とは言え、最後まで完答するためには

機械的なマニュアルではない、観察力

を要する部分もあるため、試験場で確保できると破壊力がある難易度です。

(以下ネタバレ注意)

 

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見慣れない記号を書き下す

ひとまず、今回与えられている

\(M(n \ , \ k)\)

という記号を書き下していきます。

\(M(n \ , \ k)\) は \(1^{k}\) ,  \(2^{k}\) ,  \(\cdots\) ,  \(n^{k}\) という \(n\) 個の数の相加平均なので

\(M(n \ , \ k)=\displaystyle \frac{1^{k}+2^{k}+\cdots+n^{k}}{n}\)

ということになります。

したがって、今回証明したい不等式の真ん中の項に現れる

\(\displaystyle \frac {M(n \ , \ k)}{n^{k}}\)

というのは

$$\begin{eqnarray}
\displaystyle \frac {M(n \ , \ k)}{n^{k}} &=& \displaystyle \frac {1}{n^{k}} \cdot  \displaystyle \frac {1^{k}+2^{k}+\cdots+n^{k}}{n}\\
&=& \displaystyle \frac {1}{n}(\displaystyle \frac {1^{k}}{n^{k}}+\displaystyle \frac {2^{k}}{n^{k}}+\cdots+\displaystyle \frac {n^{k}}{n^{k}})
\end{eqnarray}$$

という形となり、区分求積法、及びそれにまつわる「面積の総和」を彷彿とさせる形が現れます

あるいは

重要

求められない \(\displaystyle \sum_{ \ }^{ \ }\) は面積評価

という格言からインスピレーションしてもよいでしょう。

いずれにせよ、\(y=x^{k}\) のグラフを用いて面積評価をすることを考えていきます。

グラフ的なイメージ

面積評価ということを想起すると、示すべき不等式の真ん中にある

\(\displaystyle \frac {1}{k+1}\)

というのは

\(\displaystyle \frac {1}{k+1}=\displaystyle \int_{0}^{1} x^{k} dx\)

というように見えてくるはずです。

このことから

長方形の面積の総和

\(\displaystyle \frac {1}{n}(\displaystyle \frac {1^{k}}{n^{k}}+\displaystyle \frac {2^{k}}{n^{k}}+\cdots+\displaystyle \frac {n^{k}}{n^{k}})\)

を \(S\) とすると

\(\displaystyle \frac {1}{n}(\displaystyle \frac {1^{k}}{n^{k}}+\displaystyle \frac {2^{k}}{n^{k}}+\cdots+\displaystyle \frac {n^{k}}{n^{k}})-\displaystyle \frac {1}{k+1}\) というのは

\(S-\displaystyle \int_{0}^{1} x^{k} dx\)

ということになり、これを \(T\) とすると、\(T\) は

という図における打点部分の面積の総和ということになります。

この \(T\) を今回上からと下からで押さえることになります。

上からの評価

示すべき不等式の一つとして

\(T \leq \displaystyle \frac{1}{n}\)

があります。

先ほど、\(T\) のもつ図形的な意味を見出したわけですから、右辺の \(\displaystyle \frac {1}{n}\) にも図形的な意味合いを持たせたくなると思います。

そうなると

\(\displaystyle \frac {1}{n}\) は上の図において

長方形 \(\mathrm{ABCD}\) の面積

ということを看破したいところです。

はみ出ている角っこの総和 \(T\) と長方形 \(\mathrm{ABCD}\) の面積を比較するわけですが、バラバラのままだと比較しづらいと思います。

そこで、上の図のように、

  • 角っこを長方形 \(\mathrm{ABCD}\) に組み込む

という工夫をしてやります。

これにより、

\(T \leq \displaystyle \frac{1}{n}\)

ということが言えます。

下からの評価

今度は

\(\displaystyle \frac{1}{2n} \leq T\)

と、\(T\) を下から評価するのが目標です。

\(\displaystyle \frac{1}{2n}\)

に図形的な意味を持たせようと思うと、

\(\triangle{\mathrm{ABC}}\) の面積

などということになるでしょうか。

ただ、これだと目に見えて明らかというわけではないでしょう。

ここからが頭を使う部分です。

というか、モノの見え方の問題です。

パッと見えると気持ちよいと思います。

ぜひ、答えを見る前に一考してみましょう。

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