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正多面体の色の塗り分け問題です。
よくあるのは立方体の色の塗り分けですが、本問は少しそれを発展させて正八面体の塗り分けを考えてみます。
(以下ネタバレ注意)
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円順列の基本
円順列(回転による一致)を考える際の基本は
誰か一人の眼から見て、他がどうなっているか
ということです。
例えば、遊園地にあるコーヒーカップというアトラクションがありますね。
あれに、お父さん、お母さん、息子の3人が乗ると思ってください。
クルクル回っているからと言って座り方が変わったと思いますか?
座り方の違いを感じるのは、例えばお父さんでしょう。
お父さんの眼から見て
- 右手側にお母さん、左手側に息子
- 右手側に息子、左手側にお母さん
であれば、違いを感じることと思います。
一般に異なる n 個の円順列は
(n-1)!通り
と習うでしょうが、この -1 の意味は、まさに
誰か一人の眼から見て、残りの n-1 個がどうなっているかが問題である
ということの現れです。
よくある疑問や質問
色の塗り分け問題の解答などに
「赤を上面として固定する」
などという記述や解答があって、
「なんで、赤はここでいいんですか?」
などという質問が来ます。
赤の眼から見て、他がどうなっているのかが問題であって、赤の場所など知ったこっちゃないというわけです。
本問において
(1) については、直接正八面体のまま考えても何とかなるでしょう。
頂点についての回転対称性はまだ目で追っていけるからです。
しかし、(2) , (3) についてが問題です。
面についての回転対称性は、正八面体のまま考えると少し骨が折れます。
このまま腕力で押し切ることもできるにはできますし、試験場であればそういう路線も致し方ないでしょう。
ここでは勉強のために一工夫する方法を考えてみます。
※【総括】の中で、正八面体のまま考える路線について少しだけ触れてあります。
双対構造の利用
のように、
- 正六面体(立方体)の各面の重心を結べば、正八面体ができる
- 正八面体の各面の重心を結べば、正六面体(立方体)ができる
ということが言えます。
このとき、正六面体と正八面体は
双対 ( dual ) である
と言います。
ちなみに他の正多面体で言えば
- 正四面体は自分自身と双対
- 正十二面体と正二十面体は双対
です。
今回の応用例
(2) は正八面体の面に色を塗ると言っていますが、
立方体の頂点に色を塗る
として考えても同じことです。
正八面体と立方体のどちらが考えやすいかと言えば、そりゃ立方体でしょう。
そうなると、(2) は
(2)
立方体の2つの頂点を赤に、残りの頂点を白に塗るとき、塗り方は何通りあるか。
という問題になりますし、(3) は
(3)
立方体の3つの頂点を赤に、残りの頂点を白に塗るとき、塗り方は何通りあるか。
という問題になります。
こうなってくると、もはや色の塗り分けと言うよりは
相対的に見た2点(3点)の位置関係のパターン
を追っていくことになるでしょう。