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全ての自然数 \(m\) , \(n\) に対して
\(f(mn)=f(m)f(n)\)
という性質(乗法性)を証明するというオチの問題です。
丁寧な誘導があるため、誘導を拾い、活用していく活用力があれば特別な難問というわけではありません。
記憶に頼る要素は少なく、目の前の関数に対応するその場力の問題です。
(以下ネタバレ注意)
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本問の進み方
(1) は具体的な数に対して計算しろという実験の設問です。
\(f(2n)=f(n)\) という条件から
\(f(48)=f(24)=f(12)=f(6)=f(3)\)
というように、どんどん引数を半分にしていけることが分かります。
そして、やがて、\(2\) で割り切れなくなったら、\(f(2n-1)=(-1)^{n}\) という条件を用いて処理するわけです。
このことから、
\(2\) で何回割りきれるか(素因数 \(2\) を何個もつか)
という部分に注目することになるでしょう。
なので、
\(m=2^{A}\cdot B\) (\(A\) は非負整数 , \(B\) は正の奇数)
という形で表現したいという気持ちが芽生えてくるはずです。
このときに、\(2^{A}\) の部分は無視でき、\(f(2^{A}\cdot B)=f(B)\) ということも分かると思います。
(2) は \(m\) , \(n\) が奇数、すなわち素因数 \(2\) をもたないときを考えるので、最初から \(f(2n+1)=(-1)^{n}\) という条件を使うだけです。
もちろん、最後のオチである (3) も
\(m=2^{a}\cdot \alpha\) (\(a\) は非負整数 , \(\alpha\) は正の奇数)
\(n=2^{b}\cdot \beta\) (\(b\) は非負整数 , \(\beta\) は正の奇数)
と見ることは当然の流れでしょう。
先導的特殊
本問は、奇数という特殊なケースでまず乗法性を証明し、それを利用して一般論に接続しました。
このような一般論に繋がる役割をもつ特殊なケースを
「先導的特殊」
と言います。
整値関数
本問で扱った関数 \(f\) は、自然数を定義域とし、値域は \(\{1 \ , \ -1\}\) とする関数です。
このように、定義域と値域がともに整数であるような関数を
整値関数
と言います。
具体例について
本問のように、整値関数で乗法性をもった関数について他にも具体例を考えてみると、例えば
- 自然数 \(n\) に対して、約数の個数を与える関数 \(f(n)\)
- 自然数 \(n\) に対して、約数の総和を与える関数 \(S(n)\)
などは、\(m\) , \(n\) が互いに素であるという条件の下で、
\(f(mn)=f(m)f(n)\) , \(S(mn)=S(m)S(n)\)
という乗法性をもちます。
約数の個数や約数の総和についての扱いの確認の意味でも、ぜひ証明してみてください。
(【総括】のあとで少し触れてあります。)
解答はコチラ