実践演習 方程式・不等式・関数系

放物線の平行移動による通過領域【2018年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

東大お得意の通過領域を絡めた問題で、「動くもの」をどのように数式として立式するかという運用力が求められます。

領域を出すだけでも一苦労なのですが、その後の面積計算においても工夫なしでやろうと思うと少し溜息が出ます。

本問は、上記の運用力に加え、構造を的確にとらえて処理する力を鍛えられると思います。

(以下ネタバレ注意)

 

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構造の把握

いきなりで分からなかった場合、例えば \(k=1\) などと簡単な例で \(R\) の動きを捉えてみます。

\(k=1\) としてみると

\(\overrightarrow{ \mathrm{OR} }=\overrightarrow{ \mathrm{OP} }+\overrightarrow{ \mathrm{OQ} }\)

です。

まず、\(\overrightarrow{ \mathrm{OQ} }\) というのは \(x\) 軸方向への平行移動を司る部分になります。

ベクトルで書かれているから「点」が主体となって表現されていますが、

放物線上の点 \(\mathrm{P}\) を \(x\) 軸方向へ平行移動させる

と考えれば、結局は

放物線(の一部)を\(x\) 軸方向へ平行移動させる

ということに他なりません。

ベクトルのもつ「長さ」と「方向」という情報の「方向」という部分に目を向ければ

\(\overrightarrow{ \mathrm{OQ} }\) が関係する部分は \(x\) 軸方向への平行移動を司る

というざっくりとしたイメージができるでしょう。

そこで、

\(-1 \leq t \leq 1\) ,  \(0 \leq s \leq 1\) として

\(\mathrm{P}(t \ , \ t^{2})\) ,  \(\mathrm{Q}(s \ , \ 0)\)

と設定します。

これにより、

$$\overrightarrow{ \mathrm{OR} }=\left(
\begin{array}{c}
\displaystyle \frac{1}{k}t+ks \\
\displaystyle \frac{1}{k}t^{2}
\end{array}
\right)$$

となり、\(\mathrm{R}(X \ , \ Y)\) とすると

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
X=\displaystyle \frac{1}{k}t+ks \\
Y=\displaystyle \frac{1}{k}t^{2}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

と \(\mathrm{R}\) をパラメータ表示という形で立式できます。

2つの動点の処理

上の \(k=1\) という例で見た、放物線の平行移動の実験では、意識していなかったかもしれませんが

  • まず \(\mathrm{Q}\) を無視する
  • \(\mathrm{P}\) の動きを捉える(放物線 Get)
  • 無視していた\(\mathrm{Q}\) を動かす ( 水平方向の移動 )

ということをやっていたわけです。

このように、ひとまず \(\mathrm{Q}\) を固定します。

座標的には \(s\) を固定するということです。

\(s\) を固定し、\(t\) を動かしたときの \(\mathrm{R}\) の軌跡を求めるためには

\(t\) を消去する

ということになります。

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
X=\displaystyle \frac{1}{k}t+ks \\
Y=\displaystyle \frac{1}{k}t^{2}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

の第 1 式から \(t=kX-k^{2}s\) として、\(t\) を消去して整理すると

\(Y=k(X-ks)^{2}\)

となり、このときの \(\mathrm{R}\) の軌跡は

放物線 \(y=k(x-ks)^{2}\)

ということになります。

\(x\) の範囲については \(t\) を消去する際、\(-1 \leq t \leq 1\) という遺産を引き継ぎ

\(-1 \leq kX-k^{2}s \leq 1\)

を整理した

\(ks-\displaystyle \frac{1}{k} \leq X \leq ks+\displaystyle \frac{1}{k}\)

を考えます。

これより

\(ks-\displaystyle \frac{1}{k} \leq x \leq ks+\displaystyle \frac{1}{k}\)

が範囲です。

まとめると

\(s\) を固定し、\(t\) を動かしたときの \(\mathrm{R}\) の軌跡は

  • 放物線 \(y=k(x-ks)^{2}\) ( \(ks-\displaystyle \frac{1}{k} \leq x \leq ks+\displaystyle \frac{1}{k}\) )

ということになります。

固定を外す

ここで、固定していた \(s\) を動かします。

\(s\) を \(0 \leq s \leq 1\) の範囲で動かせば、放物線の軸 \(x=ks\) は

\(0 \leq ks \leq k\)

の範囲で動きます。

イメージとしては

軸をもって横にズズズッと動かす

感じですね。

その際に

というタイプになるのか

というタイプになるのかの場合分けが生じます。

  • 左側の放物線が右側の放物線を追い越しているのかいないのか

という観点で場合分けすると

\(\displaystyle \frac{1}{k}\) と \(k-\displaystyle \frac{1}{k}\) の大小

による場合分けということになります。

面積計算において

ここまででもずいぶん息切れしそうですが、ここからの面積計算においても工夫なしだと嫌ですね。

という場合の面積計算は

と計算すればよいですね。

については

というように、計算すればよいでしょう。

あとの極限計算については \(S(k)\) さえ出せれば問題ありません。

その他の方針について

通過領域の処理としては逆像法による処理も定番です。

これについては【解2】で触れてあります。

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