実践演習 極限・微分積分系

形が同じ2数の大小比較【隠れテーマ複数あり】【2009年度 早稲田大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

大小比較という問題ですが、今回与えられている2数は形が同じで、角度が \(x\) と \(y\) となっているか \(2x\) と \(2y\) となっているかの違いしかありません。

形が同じ2数の大小比較ということで、それにどう対応するかという問題です。

ただ、これは表向きの話題であり、この問題を完答するために必要な隠れテーマも複数あります。

最初から見えるテーマもあれば、解き進めていくうちにそのテーマ性を見抜かなければならない場面にぶち当たることもあります。

タイトルからネタバレしないよう、そこは配慮しました。

この問題をざっと見て、将来的にポイントになりそうな部分を解説を読む前に考えて見てほしいと思います。

(以下ネタバレ注意)

 

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目につくポイントその1

最初に目に付くのは \(x\) と \(y\) の対称性でしょうか。

まずはその対称性により

\(0 \lt x \leq y \lt \displaystyle \frac{\pi}{4}\)

で考えても一般性を失わないことになります。

目に付くポイントその2

今回与えられている形は

\(\displaystyle \frac{P^{n}+Q^{n}}{(P+Q)^{n}}\)

という形です。

これは

  • 分母・分子ともに \(n\) 次の同次式

です。

\(\displaystyle \frac{P^{n}+Q^{n}}{(P+Q)^{n}}=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{P^{n}+Q^{n}}{P^{n}}}{\displaystyle \frac{(P+Q)^{n}}{P^{n}}}==\displaystyle \frac{1+(\displaystyle \frac{Q}{P})^{n}}{(1+\displaystyle \frac{Q}{P})^{n}}\)

であり、\(\displaystyle \frac{Q}{P}=R\) とおくことにより

\(\displaystyle \frac{1+R^{n}}{(1+R)^{n}}\)

1 変数化することができます。

今回は

\(u=\displaystyle \frac{\cos{y}}{\cos{x}}\) ,  \(v=\displaystyle \frac{\cos{2y}}{\cos{2x}}\) とおくことで

  • \(\displaystyle \frac{\cos^{n}{x}+\cos^{n}{y}}{(\cos{x}+\cos{y})^{n}}=\displaystyle \frac{1+u^{n}}{(1+u)^{n}}\)
  • \(\displaystyle \frac{\cos^{n}{2x}+\cos^{n}{2y}}{(\cos{2x}+\cos{2y})^{n}}=\displaystyle \frac{1+v^{n}}{(1+v)^{n}}\)

とすることができます。

1変数であれば

\(f(t)=\displaystyle \frac{1+t^{n}}{(1+t)^{n}}\) と設定し、

\(f(u)\) ,  \(f(v)\)

の大小比較をすることになります。

形が同じ2数の大小比較はこのように

枠となる関数を設定し、代入値として比較する

という手法を取るのが有力な方針です。

ここからは

  • \(f(t)\) の増減
  • \(u\) ,  \(v\) の大小

という2点を調べることになります。

今回代入する \(u\) ,  \(v\) は \(0\) と \(1\) の間の実数ですから \(f(t)\) の定義域としては \(0 \lt t \lt 1\) として考えます。

\(f(t)\) の増減について

詳しい計算はここでは省略しますが、商の微分法を用いて \(f'(t)\) を計算・整理すると

\(f'(t)=\displaystyle \frac{n(1+t)^{n-1}(t^{n}-1)}{(1+t)^{2n}}\)

となります。

\(0 \lt t \lt 1\) の範囲では \(f'(t) \lt 0\) で、\(f(t)\) が単調減少だと分かります。

\(u\) と \(v\) の大小について

\(u\) と \(v\) の大小については

\(v-u=\displaystyle \frac{\cos{2y}}{\cos{2x}}-\displaystyle \frac{\cos{y}}{\cos{x}}\)

の正負を判定すればよいことになります。

これを通分すると

\(\displaystyle \frac{\cos{2y}\cos{x}-\cos{y}\cos{2x}}{\cos{2x}\cos{x}}\)

となります。

\(0 \lt x \lt \displaystyle \frac{\pi}{4}\) の範囲では分母は正ということは分かります。

分子を見て少し溜息が出るでしょうか。

  • 「加法定理の形でもないしなぁ」
  • 「2倍角の公式でバラす?なんか散らかりそうだなぁ」

とか色々怯んでしまいそうです。

ここで再び観察力が問われます。

場当たり的に進めてもいけるっちゃいけますが、偶然性をできるだけ排除し、必然的に解くという訓練だと思ってください。

ここでは伏せますので、この後の式変形について見通しをもってできるかを考えてみてください。

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