整数

2024/3/19

2024年度 京都大学理系第4問【条件によって分岐する漸化式】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 項の偶奇によって、次の項を定めるための漸化式が変化する、変則的な漸化式についての問題です。 最初の一歩目に大きな山場があり、その山場をクリアーすれば計算量は少なくシンプルに解決に向かうという京大らしい問題です。 (1) ,  (2) がほぼ同じ要領であるため、(1) ができれば (2) も解決する可能性が高く、逆に (1) ができないと (2) も厳しいでしょう。 スタートの \(a_{0}\) から奇数が連続するということは奇数が連続してい ...

2024/3/8

2024年度 東京大学理系第6問【代入値が素数となる条件】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 3次式への代入値が素数となる条件に付いて考察する問題です。 (1) は具体的な場合であり、 \(f(n)=n(n^{2}+10n+20)\) と因数分解できますので、これが素数となるとしたら \(n=1\) \(n=-1\) \(n^{2}+10n+20=1\) \(n^{2}+10n+20=-1\) という4パターンに限られます。 あとはこれを個別検証していくことになります。 難易度的に (1) は落とせないでしょう。 (2) も (1) ...

2023/1/31

複素数の2乗とピタゴラス数【2020年度 千葉大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) とてもシンプルな題意ですが、見かけとは裏腹にとっかかりが見えにくい難問です。 「逆ならいえるのに」という類の問題で論証色が強いため、傷がないように話を進めるとなると神経も使います。 千葉大の整数問題は割と本格的な問題も多いため、試験場では取捨選択も含めた判断がいるでしょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 路線1:有理数の設定 ひとまず、 \((a+bi)^{2}=(a^{2}-b^{2})+2abi ...

2024/1/24

仮想難関大(オリジナル予想問題)【整数~階乗と平方数~】【ブロカールの問題】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 仮想難関大シリーズということで、東大、京大をはじめとする旧帝大、東工大、国公立大学医学部医学科などの難関国公立大を想定したオリジナルの自作問題です。 「手垢の付いていない問題で力試しがしたい」 という方はぜひご活用ください。 今回は整数の問題です。 ブロカールの問題と言われる次の問題があります。 ブロカールの問題 \(n\) を正の整数として、 \(a_{n}=n!+1\) とするとき、\(a_{n}\) が平方数となる \(n\) を全て求 ...

2022/12/15

仮想難関大(オリジナル予想問題)【整数~等差数列と素数~】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 仮想難関大シリーズということで、東大、京大をはじめとする旧帝大、東工大、国公立大学医学部医学科などの難関国公立大を想定したオリジナルの自作問題です。 「手垢の付いていない問題で力試しがしたい」 という方はぜひご活用ください。 今回は整数の問題です。 等差数列の中で連続する素数の個数を考える問題です。 これについては グリーン・タオの定理 任意の正の整数 \(n\) に対して、\(n\) 個の項からなる素数等差数列が存在する。 というテレンス・ ...

2022/11/20

有理数の生成と可算性【カルキン・ウィルフ・ツリー】【2019年度 大阪大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 「カルキン・ウィルフ・ツリー」と呼ばれる有理数の生成に関する不思議な樹形図の問題です。 この年の大阪大学のセットの中で最難問とも名高い問題で、機械的なマニュアル君は手も足も出ない可能性があります。 鋭い人は「当たり前じゃん」とさえ思える内容なのですが、どのように言語化するべきなのかも難しいでしょう。 数学でぶん殴りたいという受験生以外の人にとっては、合否に直結する問題ではないかもしれませんが、普段の学習においてはこういう問題に対して粘り強く考 ...

2022/11/6

最大公約数と最小公倍数に関する不定方程式【2021年度 横浜市立大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 最大公約数と最小公倍数に関する不定方程式を解く問題です。 整数問題に対する基本的な手法を確認するとともに、最大公約数、最小公倍数に関する基本的な関係をしっかりと確認しましょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 最初の心構え ひとまず \((L+G)(L-G)=2^{3} \cdot 3^{2}\) と因数分解し、積の形を作って 約数を拾う という整数問題の基本を狙っていくのが自然でしょう。 手際が多少 ...

2022/10/28

ニュートンの補間法【1995年度 甲南大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ニュートンの補間法と呼ばれるものが背景にある問題を扱います。 問題を解くこと自体はできるかもしれませんが、どこからそんな発想が出てきたのかは中々難しいものがあると思います。 多項式を代入値で表すという独特の考え方であり、過去の数学者たちの知恵のようなものですから勉強していないと天下り的に感じるのも無理はありません。 ひとまずは問題を解くことに集中し、余裕があればこの問題の出どころを見てみましょう。 ニュートンの補間法についての知識そのものが劇 ...

2022/10/12

3次方程式と整数解【違和感や作為を読み取る】【1970年度 防衛大学校】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 古い問題ですが、3次方程式が整数解をもつという設定はよくある設定であり、今でも十分に演習価値のある問題です。 本問は手なりに進めていくと、「ん?」と思う部分が自然に出てくるはずです。 基本的には違和感やこの問題の作為を見落とさない観察力の問題なのですが、見るべきところを見る経験に裏打ちされる要素も若干は含んでいるでしょう。 (以下ネタバレ注意)   + クリック(タップ)して続きを読む 方程式と解に関する路線 方程式と解に関する問題 ...

2022/8/23

素数が存在する区間【ベルトラン・チェビシェフの定理】【1997年度 京都教育大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 以前、 の記事の中で、素数が存在しない区間(素数砂漠)について触れましたが、本問は素数が存在する区間について考える問題です。 本問も素数の階乗について扱っていますので、併せて見ると繋がりが感じられると思います。 本問は誘導が付いているため、問題を解くこと自体は特に無茶苦茶な要求ではありません。 むしろ、(2) のオチの結果は割とガバガバな結果で、 \(n!\) は \(n\) に比べてかなり大きいから、そりゃそうでしょうね と、感覚的にも納得 ...

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