チェビシェフの不等式【2017年度 立正大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) チェビシェフの不等式と呼ばれる有名不等式を背景にもつ問題です。 例題の (1) , (2) の結果を拡張したものがチェビシェフの不等式で、入試においては本問のような具体例に対しての出題が目立ちます。 もちろん、テーマ性のある話題なので、うまく考える方法もありますが、試験場では愚直にゴリゴリ進めていってもたかが知れています。 例題はさらに欲張って (3) で 「Nesbitt ( ...
リプシッツ連続【全称命題とその運用】【2004年度 信州大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 必ず成り立つ不等式を文字通り絶対不等式と言います。 本問はある程度の演習をこなしている人からすると、あるものがインスピレーションされると思います。 そして、本問の \(k\) の最小値について予測できてしまうとも思います。 ただし、細かな部分まで詰めていこうとすると結構ウルサイ問題です。 採点基準にもよりますが、自分の手ごたえと実際の得点率にはギャップがある問題かもしれません。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 形的 ...
対称性についての難問【消去する文字の判断】【1993年度 東京都立大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 対称性について考えさせられる問題です。 対称性を見落とさないことは数学において非常に大事な着眼点の一つです。 本問は一見対称性があるように見えますが、深く考えずに進めていくと手が止まる瞬間がやってくると思います。 完答するためにはどこかしらで何かしらの対応力が必要です。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 基本は文字消去 基本 条件一つで1文字消去 という原則にしたがって、文字を消したいと思うのが人情でし ...
平均値の定理における接点の位置
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 平均値の定理そのものについては難関大受験生にとって基本事項の1つです。 本問はその平均値の定理を指数関数 \(f(x)=e^{x}\) に適用したときの接点の位置について考察する問題です。 この問題に出会ったのは、昔自分が受験生のときでしたが、当時の私は色々策に拘り、どうにもこうにもうまくいかず、悩みに悩みギブアップして解答を見ました。 そこには著者の先生の凝りに凝った解答が載っており、「こりゃ思いつかんわ」と唇を噛んだ記憶があります。 悔し ...
補間多項式の考え方【マルコフの不等式】【1981年度 学習院大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) マルコフの不等式と呼ばれる次の定理 マルコフの不等式 \(f(x)\) を高々 \(n\) 次の整式とする。 \(-1 \leq x \leq 1\) において、\(|f(x)| \leq M\) , \(|f'(x)| \leq M'\) としたとき \(M' \leq n^{2}M\) が成り立つ。 という定理の \(n=2\) の場合の証明です。 古典的な内容であり、話の進め方も独特なものがありますから初見で対応するのは難しいと思いま ...
いびつなサイコロ【不変量に注目】【2008年度 東京工業大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 各面が等確率で出ないサイコロを考えるという設定で、この設定にバリバリ慣れ親しんでいますという人は多くはないでしょう。 昔名古屋大学で直方体のサイコロに関する論証問題がありましたが、本問は直方体とも限らないということで攻め崩す急所をどのように見出していくかが問われます。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について \(k=1 \ , \ 2 \ , \ \cdots \ , \ 6\) として、\ ...
いずれかが成り立つ不等式【1987年度 早稲田大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(A \geq n\) , \(B \geq n\) の少なくともどちらかは成り立つということを証明するという問題です。 方針面で「こうしてみようかな」という構想は出てくると思います。 解き終わってみると、ワンポイントレッスンのような問題に感じるでしょう。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 第一感は背理法 \(A \geq n\) または \(B \geq n\) が成り立つことを示すにあたり、少なくとも一方が成 ...
三角形の成立条件と判別式【覚えるべき部分とその場で判断する部分の線引き】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) なめてかかると火傷するタイプの問題です。 「判別式とるだけだろ?なめんなよ」 と威勢よく取り組みだすと、だんだん青ざめていく人が増えていくと思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 最初の一手はもちろん判別式 \(y=bx^{2}+(b+c-a)x+c\) という下に凸の放物線が \(x\) 軸と交点をもたなければ、全ての実数 \(x\) で \(bx^{2}+(b+c-a)x+c \gt 0\) ということが言 ...
2次同次式の不等式証明【次数に注目】【1997年度 島根大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 条件付きの不等式証明の問題ですが、見かけほど簡単ではないでしょう。 基本レベルだとは思いますが、スジが悪いと右往左往しかねない要素もあります。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む 手なりに(愚直に)進める方針 条件1つで1文字消去 ひとまず愚直に手を進めるとなると ポイント 条件1つで1文字消去 という言葉にしたがって \(c=3-a-b\) などと文字を消す方針が考えられます。 手なりに差をとって \( ...
不等式の証明【n変数の不等式】【1997年度 愛媛大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(n\) 個の数 \(x_{1}\) , \(x_{2}\) , \(\cdots\) , \(x_{n}\) に関する不等式証明で、見た目はキレイに循環している形です。 見た感じ、差を取ってどうのこうのできるようには思えませんし、通分しようものなら大騒ぎになります。 この与えられた形を活かす方向で考えていきたいところです。 本問は解答自体はアッサリしており、 聞けば簡単、解くのは大変 というタイプの問題なので、ネタバレしてし ...