四角柱の切断【天国と地獄】【2014年度 東京大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 東大にしては珍しく図を付けてくれており、状況が読み取りやすくなっています。 ただ、解法の良しあしははっきりと分かれ、差が付くと思います。 沼に嵌まると第1問という位置づけも相まって平常心を失う恐れもあります。 難易度としてはできれば確保したいレベルでしょう。 当時教えていた受験生で受かった人たちのほとんどはきっちりと本問は確保していました。 というと、プレッシャーを感じるでしょう。 そのプレッシャーの中で標準問題を確保するという重みを実感する ...
正四面体の重心【共線条件と対称性の活用】【1999年度 東北大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 四面体において、各頂点と対面の重心を結んだ線分は 1 点で交わります。 三角形において、各頂点と対辺の中点を結んだ線分が 1 点で交わり、その点を三角形の重心と呼ぶのに倣って、これを四面体の重心と言います。 \(\mathrm{A}(\vec{a})\) , \(\mathrm{B}(\vec{b})\) , \(\mathrm{C}(\vec{c})\) , \(\mathrm{D}(\vec{d})\) によってできる四面体の重心 \ ...
トレミーの定理【様々な証明】【2011年度 熊本大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) トレミーの定理の証明を問題形式で考えてみます。 本問の (2) の内容がトレミーの定理です。 トレミーの定理は「裏技」的な位置づけで紹介されることが多いです。 今回は「トレミーの定理を使えば早い」といった類の問題ではなく、トレミーの定理そのものを導出することを趣旨とします。 証明はできないけど裏技として使用していた人は、これを機に今後気持ちよく使えるようにしてみてください。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを ...
複素数平面上の4点が同一円周上にある条件【2001年度 名古屋大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 複素数平面上の4点が同一円周上にあるための条件を考えるという問題で、この分野の有名事実の一つです。 幾何的な見方と、複素数を道具として使いこなす力とがバランスよく盛り込まれています。 問題のために作られた問題という作為めいたものはなく、どちらかというと古典的な内容です。 本問そのものが出題されるかどうかという目先の問題ではなく、本問に含まれる教訓を吸収してやるという意気込みで取り ...
垂心と逆数【2009年度 岡山大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) というシンプルな直角双曲線上の3点によってできる三角形の垂心もこの \(y=\displaystyle \frac{1}{x}\) 上にあるというキレイな性質について確かめてみようという趣旨の問題です。 座標計算で解析的に進めて確かめる分にはそこまでの話ではありません。 ただ、幾何的に腑に落ちる説明をつけようと思うと深みに嵌まります。 ここでは、入試の基本事項をおさえつつ、垂心と ...
フェルマー点【3頂点までの距離の和が最小となる点】【2000年度 東北大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) フェルマー点と呼ばれる有名テーマについての問題を考えます。 例題では、フェルマー点の取り方と、なぜそう取ればよいのかについての証明を扱います。 類題は、フェルマー点を題材とした求値問題です。 特に断りがない限り、解答や戦略は「フェルマー点の知識を前提とせずに解くとしたら」という視点で解説してあります。 ひとまず以下はフェルマー点の概略について記しておきます。 フェル ...
グラムシュミットの直交化法【2012年度 東京農工大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) いかにも「何かありそう」な雰囲気を感じるでしょう。 グラム・シュミットの直交化法と呼ばれるものが背景にありますが、知らなくても解けるように、最初から設定してくれています。 「解く」という観点から言えば、基礎がしっかりしていれば言われていることをやっているうちに終わってしまうと思います。 そういった意味で、表面的には計算問題の側面が強いと思います。 ただ、せっかくなので、これらの設定がどのようになされたのかという部分まで触れようかと思います。 ...
正三角形を折ってできる六角形【1982年度 法政大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 図形を折るこの手の問題は想像力が必要で、中学受験を経験している中高一貫校の生徒は割とそういう訓練を積んでいる人が多いです。 それがいいか悪いかはおいておきます。 見え方が鋭い人はそれを活かせばいいと思いますし、急所に辿り着くのに時間がかかるという人は多少時間がかかっても地に足つけて解ければいいと思います。 ただ、見える人には何が見えているのかということを意識しながら勉強していくことが大切です。 本問は見える人にはパッと見えるのでしょう。 戦略 ...
正方形を折ったときの重なりの五角形【2001年度 東京工業大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 正方形の折り紙を折り曲げたときの重なりの部分が線対称な五角形になるときを考える幾何的な問題です。 このあたりの幾何的な考察はマニュアル的態度でどうこうするというよりは、観察力、洞察力を含めたその場力が必要です。 試験場においてこの問題自体が合否を左右するかというと、そこまで差がつかないと思います。 (確保できれば結構アドバンテージをとれるというレベル) (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して下さい 実際に折ってみる 実 ...
cosθ,sinθを係数にもつ位置ベクトル【2012年度 広島大学ほか】
例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 何やらありそうな設定ですが、問題を解くだけであれば基本に忠実に解いていけば無理はありません。 まずは普通に解いてみて、本問の設定について検証してみるという構成で考えてみたいと思います。 (以下ネタバレ注意) + クリック(タップ)して続きを読む (1) について もちろん目指すのは \(\overrightarrow{ OA } \cdot \overrightarrow{ OB }=0\) ということです。 内積を登場させるた ...