実践演習 極限・微分積分系

斜軸回転体の体積【傘型積分】【コーン積分】【2006年度 横浜国立大学】

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斜軸回転体の体積というテーマ性のある話題です。

通常の \(x\) 軸回転体、\(y\) 軸回転体に加え、マスターしておきたい話題のひとつでしょう。

斜軸回転体の試験場(記述式)での倒し方は次のいずれかです。

斜軸回転体の倒し方

①:回転軸に対して垂直に切り、変数変換(置換積分)

②:回転軸を回転させて \(x\) 軸に重ねる。

※  傘型分割というイキった解法もありますが、順番的には① , ② をきちんとマスターすべきです。

 

 

① の方針について

今回は回転軸である \(y=x\) を変数軸として \(t\) 軸とします。

新たな座標軸において \(t=k\) と切ったとき、切り口の線分の長さを \(r_{k}\) とすると

\(V_{n}=\displaystyle\int_{0}^{\sqrt{2}} \pi r_{k}^{2} dk\)

ということになります。

しかし、この \(r_{k}\) が \(k\) の式で出ません。

というのも、\(x\)軸が水平軸の場合、曲線 \(C\) は \(y=x^{n}\) という直交座標表示で表されていますが、首をかしげて(首を45°傾けて)\(t\) 軸を水平軸に見たとき、曲線 \(C\) の式が変わってしまうからです。

そこで、まずは図のように \(\alpha\) と設定します。

この \(r_{k}\) に相当する長さを「点と直線の距離」で仕留めることをインスピレーションすれば

\(r_{k}=\alpha\) の式

となりそうです。

この時点で最終的なシナリオは \(\alpha\) への変数変換(置換積分)です。

あとは \(dk\) を \(d\alpha\) に変える必要がありますから、\(k\) と \(\alpha\)との関係を求めに行くことになるでしょう。

 

② の方針について

先ほど、\(t\) 軸を水平軸に見たとき、曲線 \(C\) の式が変わってしまうと述べました。

逆に言えば首をかしげて見たときの曲線 \(C\) の式が Get できたのなら \(r_{k}\) に相当する長さが簡単に求まることを意味します。

そこで、\(t\) 軸を \(x\) 軸に重ねるように回転させます。

曲線 \(C\) 上の各点 \((u \ , \ u^{n})\) を \(-45^{\circ}\) 回転させるために

\((u+u^{n}i) ( \cos{(-45^{\circ})}+i\sin{(-45^{\circ}}) )\) を計算し、実部虚部を見れば、曲線 \(C\) を \(-45^{\circ}\) 回転させた曲線 \(C'\) のパラメータ表示が得られます。

パラメータ曲線さえ得られれば、あとは \(x\) 軸回転体に帰着します。

解答はコチラ

傘型分割について

以下は毒にも薬にもなる話ですから、隠させていただきます。

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斜軸回転体の体積を扱うにあたり、よく持ち出されるのが

「傘型分割」

というものです。

普段僕らが回転体の体積を計算する際には

「円柱分割」

であることが多いですね。

つまり、「うっす~~~~~い円柱」を足し加えて体積にしています。

「断面積の積分」という方がいますが、正確にはさっきの「うっす~~~~~い円柱」を足し加えています。

\(V_{x}=\displaystyle\int_{a}^{b}\pi y^{2} dx\)

\(\pi y^{2} dx\) の部分は、幅 \(dx\) がうっす~~~~~い円柱の体積だと思ってください。

円柱分割による体積の求積というのがうっす~~~~~い円柱を足し加えるということならば、傘型分割による体積の求積は

うっす~~~~~い傘を集めて足し加えていく

ということに他なりません。

うっす~~~~~い傘(ほぼ円錐の側面)が見えるでしょうか?

個人的には傘と言うよりも「(アイスの)コーン」に見えます。

こう見えるのはどうやら僕だけではないようで、「コーン積分」と呼んでいる人もいるようです。

「カラーコーン」にも見えるのですが。

(この呼ばれ方に市民権があるかどうかは不明)

すると、上の図の斜軸回転体の体積 \(V\) は

一般の傾きの斜軸回転体の体積

\(V=\cos{\theta}\displaystyle\int_{a}^{b}\pi \{mx-f(x)\}^{2} dx\)

となり、真上の方向の回転体の体積に \(\cos{\theta}\) をかけた値という分かりやすい結果となります。

この傘型分割については記述式の試験においてはあくまで検算用に留めておくべきです。

 

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