場合の数・確率系 実践演習

ランダムウォーク【事象の内訳を捉える】【2017年度 東京大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

 

原点からスタートし、ある確率に従って進む方向が決まるという、よくある設定の問題です。

本問は2017年度の東大の問題ですが、この年は例年に比べ基本的な問題が多く、とりこぼしが致命傷になるような問題が並んでいた年でした。

そんな中の一問が本問であり、難易度としては基本的だと思いますが、「試験場補正」がかかりかねない問題だとも思います。

場合の数や確率は、試験場においては

「計算上、出てきた数値を信じるしかない」

という側面があると言えましょう。(もちろん、明らかにおかしいと気が付くこともあるでしょうが)

例えば「1000通り」と出てきた場合でも、実際に1000通り検証するわけにはいかず、計算で出てきた(自分が正しいと信じて導出した)1000通りを信じるしかないわけです。

そういう意味で、この分野は怖い分野です。

この分野の基本は

数え上げの基本

  • 漏れなく数える
  • 重複なく数える

というのが基本です。

普段の学習において、答え合わせをした際に

「自分の考えのどこが違うのかが分からない」

ということも多々あると思いますが、その際には「漏れがないか」「重複がないか」を考えると間違いに気づけることも多くなるはずです。

さて、本問の話に戻ります。

(以下ネタバレ注意)

 

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本問は試験場においては下手に策にこだわるよりも愚直に処理していく方が結果的に完答できる可能性が高いです。

up ,  down ,  right ,  left  の頭文字をとり

上方向に \(u\) 回
下方向に \(d\) 回
右方向に \(r\) 回
左方向に \(l\) 回

と設定します。

もちろんこれら \(u\) ,  \(d\) ,  \(r\) ,  \(l\)  は 0 以上の整数で、

\(u+d+r+l=6\) を満たしています。

このときの点 P  の座標は \((r-l \ , \ u-d)\) なので、これが \(y=x\) 上にあるとき

\(u-d=r-l\)

が成立します。

これらを満たす \(u\) ,  \(d\) ,  \(r\) ,  \(l\)  の組を愚直に出して、題意を満たす移動の仕方が何通りあるかを数え上げればよいでしょう。

つまり

ポイント

事象の内訳を捉える

ということであり、ランダムウォークと呼ばれる本問のような問題に対する基本的な対応になります。

この内訳を捉えていると、その恩恵で (2) もほぼ同時に片付くことになります。

ウマい解答もあるにはありますが、緊張した試験場で出てくるかと言われると言葉に詰まります。

観賞用だとは思いますが、勉強にはなると思うので一応【総括】の方で少しだけ触れておきました。

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