2023年度 京都大学 理系数学【総評と感想】
2023年度京大理系 各解説記事 150分 6題 記述式 と、形式に変更はありません。 分野的トピックス 昨年は数Ⅲからの出題は1題のみでしたが、今年は3大問で数Ⅲからの出題がありました。 また、京大頻出の整数分野については、第6問の中にその要素はあったものの前面に押し出した整数問題というわけではありませんでした。 各大問について 第1問 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 京大が定期的に採用する各問が独立した小問形式の大問です。 2021年はこの独立小問形式の大問が2題あり、 ...
2023年度 京都大学理系第6問【チェビシェフの多項式】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) \(\mathrm{cos}\) の \(n\) 倍角の式を用いた論証問題です。 チェビシェフの多項式と呼ばれるネタがありますが、それにまつわる類題経験がないと厳しいでしょう。 チェビシェフの多項式に関するシリーズはコチラ 本問はチェビシェフの多項式がもつ特徴的な性質を自分で抽出して利用することが求められます。 性質そのものはもちろん、その性質の導出過程においても経験がモノを言いますので、知識的な側面が強い問題だと思います。 解答はコチラ
2023年度 京都大学理系第5問【線分の通過領域と回転体】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 線分の通過領域による立体の体積を求める問題です。 点 \(\mathrm{P}\) は1次元的な動きですが、点 \(\mathrm{Q}\) は2次元的な動きをします。 同時に動かすと中々想像がつきませんが、ひとまず 点 \(\mathrm{P}\) を固定して \(\mathrm{Q}\) だけ動かす といったように、一つずつ動かすと分かりやすいでしょう。 独立2変数の扱いに通じる部分がありますね。 この態度で考えを進めると、結局は \(\ ...
2023年度 京都大学理系第4問【合成関数の最大最小】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 関数の最大値、最小値を求めるという極めてド直球なテーマです。 今回の \(f(x)\) は \(g(x)=x+\displaystyle \frac{1}{x}\) \(h(x)={e}^{-x^{2}}+\displaystyle \frac{1}{4}x^{2}+1\) と設定した際に \(f(x)=g(h(x))\) という形になっているいわゆる合成関数です。 \(y={e}^{-x^{2}}+\displaystyle \frac{1 ...
2023年度 京都大学理系第3問【サイコロの目の積についての確率】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) サイコロを投げて出た目の総積について考える問題で、話題としては典型テーマです。 悪くいってしまえば正直どの大学で出題されてもおかしくなく、個性はないと言ってよいでしょう。 下手をすると進学校であれば定期考査レベルの問題ですので、正直言って確保しないと大ダメージです。 (この問題で配点30点ですからね。) 特に (1) は京大を本気で目指してきた受験生からするとバカにするなという感想が出てきてもおかしくないでしょう。 解答はコチラ なお、京大は ...
2023年度 京都大学理系第2問【空間における2直線が交点をもつ条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 空間ベクトルについての基本問題です。 内分点、中点の位置ベクトルの導出 共線条件 2直線が交点をもつ条件 など、空間ベクトルに関する基本事項のセットとなっています。 なお、あまり律儀にお絵描きする必要はなく、立式の補助としてある程度の図で構わないでしょう。 問題によってはある程度正確に図を書き、図形的な考察を通さないと負担が重くなるような問題もありますが、本問はある程度ラフな図でも立式さえできれば、式的な処理で押し通せる範疇です。 そういった ...
2023年度 京都大学理系第1問【定積分の計算・高次式の余り】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 京大が定期的に取り入れる小問集合形式の問いです。 いずれも完答は現実的な範疇ですので、ここをキッチリと取って勢いにのっていきたいところです。 問1は基本的な定積分の計算問題で、部分積分一発で沈みます。 問2は年度に絡めた高次式 \(x^{2023}-1\) を \(x^{4}+x^{3}+x^{2}+x+1\) で割ったときの、余りについて考える問題です。 \(x^{4}+x^{3}+x^{2}+x+1\) という形を見て \(x^{5}-1 ...
2023年度 東京大学 理系数学【総評と感想】
2023年度東大理系 各解説記事 150分 6題 記述式 と、形式に変更はありません。 分野的トピックス 東大が好む整数分野からの出題がありませんでした。 また、全体的に第3問、第4問、第6問など図形に関する出題が目立ちました。 各大問について 第1問(標準) 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 定積分の不等式評価をし、それを用いてはさみうちの原理で極限を求める問題です。 流れ自体は定番の流れなので、ざっくりとしたシナリオ自体は読み取れますし、(1) の結果を認めてしまえば ( ...
2023年度 東京大学理系第6問【条件を満たす線分と折れ線の先端の存在領域の体積】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 見るからに威圧感のある空間図形の問題です。 問題を噛み砕くのに時間がかかり、突破口を見出すのに時間がかかり、それを計算処理するのに時間がかかり、適切な文章や図でまとめるのに時間がかかり、というようにとにかく時間がかかります。 面白い問題だとは思いますが、試験場では相手にしてはいけない問題です。 結局は (1) では棒、(2) ではヌンチャク(折れ線) が立方体の表面と共有点をもたないように動くときの先端の存在領域を考えることになります。 また ...
2023年度 東京大学理系第5問【整式が平方因子をもつ条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 整式の割り算と余りに関する論証問題です。 (1) は東大受験生であれば確保したい内容ですが、どちらかというと当たり前的な内容の証明なのでどこまで丁寧さを求めるか迷うところですが、出来る限り丁寧に記述しておきましょう。 (2) は除法の原理 \((割られる式)=(割る式)\cdot (商)+(余り)\) を用いて、与えられた条件を立式していきます。 \({h(x)}^{7}=f(x)Q_{1}(x)+h_{1}(x)\) \({h_{1}(x) ...