2021年度 九州大学理系第5問【二項係数が素数となる条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 見た感じ本格的な匂いを感じました。 主張がシンプルで高級そうなオチで、今回のセットの中では目を引く問題でした。 少し愚痴ると、 \(n\) は 4 以上の自然数とする。 \(2 \leq k \leq n-2\) を満たす自然数 \(k\) に対して \({}_n \mathrm{ C }_k \gt n\) を示せ。 ぐらいまで書いておいてほしいなと思います。 自然数 \(k\) が \(2 \leq k \leq n-2\) として存在す ...
2021年度 九州大学理系第4問【『平均値の性質』と複素数平面における存在命題の論証】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 平均値の定理 \(a\) , \(b\) を \(a \lt b\) を満たす実数として、\(a \leq x \leq b\) で \(f(x)\) が微分可能としたとき \(\displaystyle \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)\) を満たす \(c\) が \(a \lt c \lt b\) に存在する という平均値の定理の形を彷彿とさせます。 定義域が複素数であると複素関数になってしまい、 ...
2021年度 九州大学理系第3問【絶対不等式の考え方】【x軸回転体の体積】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) テーマとしては (1) が絶対不等式の考え方、(2) が x 軸回転体の体積ということですが、実質は (1) が山場です。 区間 \(I\) において \(f(x) \gt c\) ( \(c\) は定数 ) が常に成立するとは 区間 \(I\) における最小値を \(m\) として \(m \gt c\) が成立する。 ということが言えます。 その区間における最小値(一番雑魚)が \(c\) に勝てるのであれば、その他の連 ...
2021年度 九州大学理系第2問【2次方程式の虚数解についての複素数平面上での考察】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 2次方程式の虚数解をもとに複素数平面上で様々なことを考察する問題です。 (1) で困る人はいないでしょうから、実質は (2) からの勝負ということになると思います。 実際この問題を見たときの私のメモです。 大体見た感じでこのあたりまで読み解いて、あとは詰めていくか、といった感じで解き進めました。 詰めの作業のときに、最後の (3) で出した \(\tan{\theta}\) の値が (1) の \(\theta\) ...
2021年度 九州大学理系第1問【球と平面の位置関係と交円】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 色々な方針が考えられます。 空間座標の問題においてはベクトルから攻めるのが常套手段ではあります。 その理由を説明するためには「方程式とは何ぞや」ということについて述べなければなりません。 「方程式とは何ぞや」ということをすごくざっくり言えば 「この=を満たす○○集まれ~」 です。 1次方程式 例:\(3x-4=5\) →意味:\(3x-4=5\) を満たす \(x\) 集まれ! →集まった結果(解):\(x=3\) ...
2021年度 大阪大学理系【総評と感想】
今年の大阪大理系数学を解いての感想です。 難易度について 内容自体は標準的な内容が多いように思いましたが、完答するためには何かしらのワンパンチが必要な問題が並んでいたように思います。 昨年に比べて難易度は保っていたように思いますので、大きな難易度変化はないといってよいと思います。 2021年度 大阪大学理系 各解説記事 第1問 問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 最終的に従属2変数関数の最小値を求める問題に帰着します。 今回は \(b=\displa ...
2021年度 大阪大学理系第5問【複接線が引けるための必要十分条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) (1) は \(f(x)=x-\tan{x}\) ( \(-\displaystyle \frac{\pi}{2} \lt x \lt \displaystyle \frac{\pi}{2}\) ) と設定し、微分すれば \(f(x)\) が単調減少であることが即座に分かります。 あとは任意の実数 \(a\) に対して \(y=f(x)\) のグラフと \(y=a\) が 1 点のみで共有点をもつことが言えればよく、この \ ...
2021年度 大阪大学理系第4問【定積分を用いた整数問題】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 一見、この定積分がどう効いてくるのか身構えますが、実際に解き進めてみると中身は整数問題です。 整数問題の有力方針 積の形から約数の拾い 余りで分類 評価する(範囲を絞る) と、整数問題に対する有力な方針は3つあります。 このあたりのもう少し例題要素の強い問題については 等で扱っていますので、適宜ご活用ください。 本問は整数問題の基本やその運用力について試す問題で、整数問題の基本的な運用力を下地として、式のもつ形を観 ...
2021年度 大阪大学理系第3問【定積分の不等式評価と極限】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 見た目がゴツいため、ウワっと思いがちですが、(1) , (2) まではやってみると見掛け倒しということが分かると思います。 問題は(3) です。 阪大受験生からすれば、 \(p\) , \(q\) を求めること自体はそこまで難しくはないと思われます。 ただ、その導出過程には気を付けたいところで、 \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } (a_{n}-□n) = △\) だから \(p= ...
2021年度 大阪大学理系第2問【共面条件】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) 状況を図に書いてみて、言われていることを式に落とし込んでいったら、結論まで躓くことなく辿り着けるはずです。 一般に4点 \(A\) , \(B\) , \(C\) , \(D\) が同一平面上にあるための条件は次の通りです。 共面条件 空間内の異なる4点 \(A\) , \(B\) , \(C\) , \(D\) が同一平面上にあるとき、実数 \(s\) , \(t\) を用いて \(\overrightarro ...