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2021年度 九州大学理系第5問【二項係数が素数となる条件】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

見た感じ本格的な匂いを感じました。

主張がシンプルで高級そうなオチで、今回のセットの中では目を引く問題でした。

少し愚痴ると、

\(n\) は 4 以上の自然数とする。

\(2 \leq k \leq n-2\) を満たす自然数 \(k\) に対して

\({}_n \mathrm{ C }_k \gt n\)

を示せ。

ぐらいまで書いておいてほしいなと思います。

自然数 \(k\) が \(2 \leq k \leq n-2\) として存在するためには \(n \geq 4\) であることが必要なので、必然的に \(n \geq 4\) で考えることになるんですけどね。

(敢えてこういう問題文にした可能性もありますが、この問題の中身を考えてほしいならそんなところにエネルギーを使わせるよりも中身を考える部分に集中させてあげてほしい。)

 

さて、愚痴はここまでとして話を戻します。

(1) は「当たり前じゃん」と思いましたが、それを示すとなると神経を使います。

方針としては2路線あります。

一つは二項係数

\({}_n \mathrm{ C }_0\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_1\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_2\) ,  \(\cdots\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_{n-2}\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_{n-1}\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_n\)

は増加してから、減少する

というイメージを利用して、隣接二項比較するという方針、すなわち

  •   \(\displaystyle \frac{a_{k+1}}{a_{k}}\) を考えて \(1\) と比較する方針

もう一つは愚直に

  • \({}_n \mathrm{ C }_k \) を分数式として書き下す方針

です。

どちらが先に目に付くかは個人差があると思います。

自分は隣接二項比較が先に思いつきました。(今思うと大袈裟な方針だったかもしれない)

いずれにせよ、「当たり前じゃん系統」の問題(証明)では、どこまで自明のものとして認めてよいのかについて注意しながら書く必要があります。

(2) はパッと思いつくのは

\({}_p\mathrm{ C }_1=p\)  と \({}_p\mathrm{ C }_{p-1}=p\)

です。

乱暴な考え方ですが、

「全て求めよ」なんだから求まりきるんでしょう。

多分、\({}_n \mathrm{ C }_2\) ,  \(\cdots\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_{n-2}\)  は素数にならないんでしょう。

根拠は (1) を利用するんでしょう。

 

と懐疑的な目で考えていくと、目論見通り (1) が根拠となって \({}_n \mathrm{ C }_2\) ,  \(\cdots\) ,  \({}_n \mathrm{ C }_{n-2}\) が素数にならないことが証明できます。

 

完全に「その場力」が必要な問題です。

決して無茶苦茶な難問というわけではありませんが、地に足の着いた勉強をしていないと、場当たり的なことを書いて終わってしまいかねません。

いつか未来の受験生がこの問題を見ることになると思いますが、メッセージ性の強い問題になるのではないかと思いました。

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