場合の数・確率系 実践演習

1000以下の素数の個数【2021年度 一橋大学】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

2021年度入試の中でも注目度が一際高かった問題です。

問題文の意味自体は下手すると小学生でも分かりますが、実際に試験場で見ると面食らう受験生も多かったかもしれません。

実際に自分ではできたつもりでも、実は数え方がマズく証明できていないということにもなりかねないため、自分の手応えと実際の出来具合にはギャップがあるかもしれません。

(以下ネタバレ注意)

 

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方向性

素数よりも合成数の方が数えやすいわけですから、合成数の方を数えていきます。

\(1\) は素数ではありませんから、\(2\) 以上 \(1000\) 以下の自然数のうち、合成数を \(749\) 個見つければ勝ちです。

まずは全体集合として

  • \(2\) 以上 \(1000\) 以下の自然数の集合を \(U\)

とします。

\(2\) の倍数の個数

\(U\) の部分集合のうち

  • \(2\) の倍数の集合を \(A\)

とします。

\(n(A)=[\displaystyle \frac{1000}{2}]=500\)

ですから、まだまだ全然 \(749\) 個には届きません。

\(3\) の倍数の個数

そこで、さらに

  • \(3\) の倍数の集合を \(B\)

とすると

\(n(B)=[\displaystyle \frac{1000}{3}]=333\)

です。

重複

\(n(A \cap B)=[\displaystyle \frac{1000}{2 \cdot 3}]=166\)

に注意すれば

\(n(A \cup B)=500+333-166=667\)

で、まだまだ \(749\) 個には届きません。

\(5\) の倍数の個数

そこでさらに、

  • \(5\) の倍数の集合を \(C\)

を考え、\(n(A \cup B \cup C)\) を考えていきます。

  • \(n(A \cup B \cup C)=n(A)+n(B)+n(C)-n(A \cap B)-n(B \cap C)-n(C \cap A)+n(A \cap B \cap C)\)

という包除原理に注意して数え上げると

\(n(A \cup B \cup C)=734\)

となります。

\(2\) ,  \(3\) ,  \(5\)  そのものは素数であるため

\(731\) 個

が合成数であることが確定しますが、それでもまだ \(749\) 個には \(18\) 個届きません。

ここから2路線考えられます。

路線1:7の倍数を考える

この路線を継続する方向性で言えば

\(U\) の部分集合のうち

  • \(7\) の倍数の集合を \(D\)

として、\(n(A \cup B \cup C \cup D)\) を考えていく路線が考えられます。

この路線は【解2】で扱っています。

路線2:手探りで見つけてしまう。

あと \(18\) 個見つければいいのであれば、手探りで探してしまうというのも1つの手です。

\(7\) ,  \(11\) ,  \(\cdots\) ,  \(p\)  という

\(k\) 個の素因数

を考えてみます。

ひとまず、

\(m^{2}\) 型の合成数

として

\(7^{2}\) ,  \(11^{2}\) ,  \(\cdots\) ,  \(p^{2}\)

という \(k\) 個の合成数があります。

次に

\(7 \cdot 11\) ,  \(7 \cdot 13\) ,  \(\cdots\)

といった、\(mn\) 型の合成数が

\({}_k \mathrm{ C }_2=\displaystyle \frac{k(k-1)}{2}\)個

あります。

この段階で

\(k+\displaystyle \frac{k(k-1)}{2}=\displaystyle \frac{k(k+1)}{2}\)個

の合成数があります。

そこで

\(\displaystyle \frac{k(k+1)}{2} \geq 18\)

を満たす最小の \(k\) を考えると \(k=6\) であるため、

\(7 \ , \ 11 \ , \ 13 \ , \ 17 \ , \ 19 \ , \ 23\)

という \(6\) 個の素因数のみをもつ合成数を上記の要領で数えていけば解決します。

この路線を【解1】としています。

解答はコチラ

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