発想の根元はラグランジュの補間法
\(f(x)=ax^{2}+bx+c\) とします。
① の範囲において
\(|f(x)| \leq 1\) であるとき、\(|f'(x)| \leq 4\)
であることを示すわけです。
\(y=f'(x)\) のグラフが直線であることを考えると\(|f'(x)| \leq 4\) を示すためには
\(|f'(1)| \leq 4\) かつ \(|f'(-1)| \leq 4\)
を示せば十分です。
条件である\(|f(x)| \leq 1\) というのは「\(f\) への代入値」に関する条件です。
そこで、
- 係数 \(a\) , \(b\) , \(c\) を代入値で表す
ということを考えます。
2次関数については3点指定すれば確定しますから、① の範囲で簡単な
- \(f(1)\) , \(f(0)\) , \(f(-1)\)
を考えることにします。
このまま考えてもいいですが、名前を付けて
\(f(1)=p\) , \(f(0)=q\) , \(f(-1)=r\)
とします。
この \(p\) , \(q\) , \(r\) は条件から
$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
|p| \leq 1 \\
|q| \leq 1 \\
|r| \leq 1
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$
を満たしています。
繰り返しになりますが、目標は
係数 \(a\) , \(b\) , \(c\) を情報をもっている \(p\) , \(q\) , \(r\) で表す
ということです。
\(f(1)=p\) , \(f(0)=q\) , \(f(-1)=r\) である2次式は
\(f(x)=\displaystyle \frac{px(x+1)}{(1-0)(1+1)}+\displaystyle \frac{q(x-1)(x+1)}{(0-1)(0+1)}+\displaystyle \frac{rx(x-1)}{(-1-0)(-1-1)}\)
と表すことができます。
これをラグランジュの補間法といいます。
詳しくは
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参考ラグランジュの補間法【1989年度 関西大学】
問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。) ラグランジュの補間法に関連する問題を扱ってみます。 一見するとゴッツい形になりますが、中身を見て見ると心地よさを感じる内容です。 (以下 ...
続きを見る
も参考にしてください。
今回の \(f(x)\) を整理すると
\(f(x)=\displaystyle \frac{p}{2}x(x+1)-q(x+1)(x-1)+\displaystyle \frac{r}{2}x(x-1)\)
ということになり、まとめると
\(f(x)=(\displaystyle \frac{p}{2}-q+\displaystyle \frac{r}{2})x^{2}+(\displaystyle \frac{p-r}{2})x-q\)
です。
\(f(x)\) を情報をもっている \(p\) , \(q\) , \(r\) で表すことに成功しました。
こうなってくると
\(f'(x)=(p-2q+r)x+\displaystyle \frac{p-r}{2}\)
ということになりますから、目標の
\(|f'(1)| \leq 4\) かつ \(|f'(-1)| \leq 4\)
については絶対値をバラす三角不等式を用いれば手なりに解決します。
今回の発想や流れは馴染みのない考え方だったかもしれませんが、芸術鑑賞に近い感覚で楽しむぐらいで構わないと思います。
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