実践演習 方程式・不等式・関数系

放物線の焦点を通る直交2直線【2007年度 名古屋工業大学ほか】

例題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

放物線の焦点を通る直交2直線のもつ美しい性質を体感する問題です。

学習内容的には

  • 極が原点でない場合の極座標の扱いと、極方程式の運用
  • 斜めの距離に対する極座標・極方程式の威力

という2点を学ぶことになります。

入試においてもちょくちょくネタにされる話題です。

(以下ネタバレ注意)

 

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状況を図示すると

という状況です。

\(\theta\) の設定の仕方から、\(\mathrm{F}\) を極とした極座標を設定します。

点 A が放物線上にあるということをどのように翻訳するかです。

直交座標では

直交座標における方程式

\(y^{2}=4px\)

が与えられているのであれば、\((X \ , \ Y)\) が、この放物線上にあることは

\(Y^{2}=4pX\)

という「代入」によって翻訳できます。

極座標では

点 \((r \ , \ \theta)\) がこの放物線上にあるということを代入によって翻訳するためには

\(r\) ,  \(\theta\) に関する関係式、すなわち極方程式

が必要になります。

手元にあるのは直交座標に関する情報ですから、直交座標と極座標の関係を整理し、極方程式に結びつけます。

極座標と直交座標との関連

ここでは 、直交座標 \((x \ , \ y)\) と、\((p \ , \ 0)\) を極とする極座標 \(<r \ , \ \theta>\) との関係を見ます。

※  混乱を避けるために、極座標は \(<r \ , \ \theta>\) という記号で表すことにします。

このとき、

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
x=p+r\cos{\theta} \\
y=r\sin{\theta}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

という関係式が成り立ちます。

よくある原点が極の場合は

$$\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
x=r\cos{\theta} \\
y=r\sin{\theta}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$

という関係ですが、本問のように、原点が極ではない場合でも対応できるようにしておく必要があります。

本問の場合

点 \(\mathrm{A}\) の直交座標を \((X \ , \ Y)\) ,  極座標を \((r \ , \ \theta)\) とします。

このとき

\(\overrightarrow{ \mathrm{FA} }=\overrightarrow{ \mathrm{OA} }-\overrightarrow{ \mathrm{OF} }\)

\(=\left(
\begin{array}{c}
X \\
Y
\end{array}
\right)-\left(
\begin{array}{c}
p \\
0
\end{array}
\right)\)

\(=\left(
\begin{array}{c}
X-p \\
Y
\end{array}
\right)\)

です。

\(|\overrightarrow{ \mathrm{FA} }|=r\) なので

\(r=\sqrt{(X-p)^{2}+Y^{2}}\)

となります。

\((X \ , \ Y)\) は放物線 \(y^{2}=4px\) 上なので

\(Y^{2}=4pX\)

が成立しますから

\(r=\sqrt{(X-p)^{2}+4pX}\)

ということになります。

これを整理すると

\(r=X+p\)

ということになり、\(X=p+r\cos{\theta}\) という先述の関係式から

\(r=\displaystyle \frac{2p}{1-\cos{\theta}}\)

という極方程式を得ます。

極方程式さえ得られればこちらのものです。

あらためて

\(\mathrm{A} (r_{1} \ , \ \theta)\) とおくと、

\(r_{1}=\displaystyle \frac{2p}{1-\cos{\theta}}\)

を得ます。(これは(1) の結論が得られたに等しい結果です。)

このとき、残りの3点 \(\mathrm{B}\) ,  \(\mathrm{C}\) , \(\mathrm{D}\) についての極座標は

\(\mathrm{B} (r_{2} \ , \ \theta+\displaystyle \frac{\pi}{2})\)

\(\mathrm{C} (r_{3} \ , \ \theta+\pi)\)

\(\mathrm{D} (r_{4} \ , \ \theta+\displaystyle \frac{3\pi}{2})\)

と設定できます。

極方程式は手元にあるので、\(\mathrm{BF}\) ,  \(\mathrm{CF}\) ,  \(\mathrm{DF}\) に相当する \(r_{2}\) ,  \(r_{3}\) ,  \(r_{4}\) が得られることになります。

ここからは気持ちよく手なりに計算が進んでいくはずです。

類題について

類題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

計算させられるものが異なるだけで、極座標を用いて計算する要領は同じです。

【総括】では直交座標のままで計算する路線についても触れておきました。

例題の解答はコチラ

類題の解答はコチラ

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