実践演習 方程式・不等式・関数系

対称的な陰関数【1975年度 帯広畜産大学】

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複素数の見た目をしており、確かに前半は1の3乗根の基本性質の運用がメインの話題です。

(1) の結論を得て、(2) に取り掛かる際に「ムムっ」となる可能性があります。

範囲的にはグレーゾーンかもしれませんが、余裕があればこういう問題も考えて見るのも一興です。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

\(|z|=1\) という条件から、\(|z|^{2}=1\) ですから、

\(z\bar{z}=1\)

として処理します。

これより

\((x\omega+y{\omega}^{2})(x\bar{\omega}+y{\bar{\omega}}^{2})=1\)

を処理することになります。

  • \({\omega}^{3}=1\)
  • \({\omega}^{2}+\omega+1=0\)
  • \({\omega}^{2}=\bar{\omega}\)

という1の虚数立方根の性質を駆使しながら、進めていく路線が見えると思います。

\((x\omega+y{\omega}^{2})(x\bar{\omega}+y{\bar{\omega}}^{2})=1\) を展開して整理すると

\(x^{2}\omega \bar{\omega}+xy\omega \bar{\omega}(\omega+\bar{\omega})+y^{2}{\omega}^{2}{\bar{\omega}}^{2}=1\)

となり、\(\omega\) の上記性質から

  • \(\omega \bar{\omega}=\omega \cdot {\omega}^{2}={\omega}^{3}=1\)
  • \(\omega+\bar{\omega}=\omega+{\omega}^{2}=-1\)

ですから、結局

\(x^{2}-xy+y^{2}=1\)

という結論を得ます。

これが曲線 \(C\) の表す方程式です。

(2) について

\(x^{2}-xy+y^{2}=1\) という方程式が表す図形を初見で看破できる方がいたら、それは素晴らしいです。

ただ、多くの人にとっては初見だと

「あれ?どっかで計算ミスった?」

と慌てふためくことになります。(むしろ健全な反応)

切り崩すためには観察力が必要です。

  • \(x^{2}-xy+y^{2}=1\) は \(x\) ,  \(y\) の対称式である

ということが看破できれば

点 \((a \ , \ b)\) が \(C\) 上ならば、\((b \ , \ a)\) も \(C\) 上の点である

ということが分かり、これは

  • \(x^{2}-xy+y^{2}=1\) が表す曲線が \(y=x\) について対称である

ということを意味します。

ここまで晒しても「だから何だよ」と思うか、「あ、そうか」と思うか分かれると思います。

\(y=x\) について対称であるということは

というように

  • 曲線 \(C\) を \(-\displaystyle \frac{\pi}{4}\) 回転させると、\(x\) 軸対称な図形が現れる

ということです。

そうなってくると、\((x \ , \ y)\) を \(-\displaystyle \frac{\pi}{4}\) 回転させた点を \((X \ , \ Y)\) と設定し、

\(X\) ,  \(Y\) の関係式を Get したい

と思えてくるはずです。

ここまでくれば後は手なりに進んでいくはずです。

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