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実践演習 方程式・不等式・関数系

多項式の剰余問題【重解型】【1997年度 文教大】

問題はこちら(画像をクリックするとPDFファイルで開きます。)

多項式を多項式で割ったときの余りについて考える問題で、話題としてはよくあるものです。

その中でも「重解型」という差が付くトピックスを取り上げます。

単元学習の段階ではラスボス的な位置づけの話題だと思います。

ただ、演習段階においては

経験で差が付く標準問題

という位置づけです。

序盤ラスボスと見せかけて、後々モブだったという意味で言えばドラクエⅥで言うムドーのようなものでしょう。

重解型は細かく言えば様々な解法がありますが、ここではよくある方法と、少し凝った方法という2通りの方法で解いてみます。

(以下ネタバレ注意)

 

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(1) について

x^{n}(x-2)(x-3) で割った商を A(x) とします。

2次式で割った余りは1次式、もしくは定数(高々1次という言い方をします)です。

そこで、求める余りを px+q と表します。

そうなると

x^{n}=(x-2)(x-3)A(x)+px+q

と表せます。

これに x=2 \ , \ 3 を代入すると

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2p+q=2^{n} \\ 3p+q=3^{n} \end{array} \right. \end{eqnarray}

を得ます。

これら pq  についての連立方程式を解くと、

  • p=3^{n}-2^{n}
  • q=3 \cdot 2^{n}-2 \cdot 3^{n}

となりますから、求める余りは

(3^{n}-2^{n})x+(3 \cdot 2^{n}-2 \cdot 3^{n})

となります。

(2) について

今度は4次式で割った余りなので、高々3次です。

方針1

余りを

ax^{3}+bx^{2}+cx+d

と設定します。

x^{n}(x-1)^{4} で割った商を Q(x) とすると

x^{n}=(x-1)^{4}Q(x)+ax^{3}+bx^{2}+cx+d

という関係式が得られます。

(1) は未知数の個数に対して、条件式の個数も足りていたのですが、今回は abcd  という未知数4個に対して、代入できるのは x=1 しかありません。

数学Ⅲを学習していれば、この打開策として

  • 両辺を微分する

という作戦が有名な打開策となります。

これについては経験による裏打ちがないと厳しい類の路線です。

この方針の解答が【解1】です。

方針2

先にネタバレしてしまいます。

x^{n}=\{(x-1)+1\}^{n} と見て二項定理をかますと

1+{}_n \mathrm{ C }_{1} (x-1)^{1}+{}_n \mathrm{ C }_{2}(x-1)^{2}+{}_n \mathrm{ C }_{3}(x-1)^{3}+(x-1)^{4}Q(x)

という形となり、R(x)

R(x)=1+{}_n \mathrm{ C }_{1} (x-1)^{1}+{}_n \mathrm{ C }_{2}(x-1)^{2}+{}_n \mathrm{ C }_{3}(x-1)^{3}

と分かり、

R(2)=1+{}_n \mathrm{ C }_{1} +{}_n \mathrm{ C }_{2}+{}_n \mathrm{ C }_{3}

と即終わります。

この路線は「基底の変換」という話となり、【解2】で触れてあります。

解答はコチラ

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