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和の情報から一般項の情報に辿り着く
「和から一般項」
という話題です。
本問は1960年に当時高校生であった鹿野健氏が新作し、雑誌のコンテストで入賞したことで、後に様々な大学で出題されるようになったとのことです。
見た目の簡潔さ、教育的な内容、適度な難易度、といったバランスがよく、演習題材としてはとてもよい題材です。
(以下ネタバレ注意)
+ クリック(タップ)して続きを読む 和から一般項 \(S_{n}=a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{n-1}+a_{n}\) というように \(S_{n}\) を定めるとき、 $$\begin{eqnarray} という関係式を用いていきます。 \(a_{n}=S_{n}-S_{n-1}\) を、条件である \(S_{n}=\displaystyle \frac{1}{2}(a_{n}+\displaystyle \frac{1}{a_{n}})\) に代入すると \(S_{n}=\displaystyle \frac{1}{2}\{(S_{n}-S_{n-1})+\displaystyle \frac{1}{S_{n}-S_{n-1}}\}\) ということになり、\(S_{n}\) と \(S_{n-1}\) の関係式が得られます。 これを整理すると \({S_{n}}^{2}={S_{n-1}}^{2}+1\) と、 数列 \(\{{S_{n}}^{2}\}\) が等差数列 という結果が得られます。 ここで、\({S_{1}}^{2}\) が必要になります。 \(a_{1}=S_{1}\) ですから \(S_{1}=\displaystyle \frac{1}{2}(S_{1}+\displaystyle \frac{1}{S_{1}})\) ということになり、ここから、 \({S_{1}}^{2}=1\) を得ます。 先ほどの \({S_{n}}^{2}={S_{n-1}}^{2}+1\) という関係式より 数列 \(\{{S_{n}}^{2}\}\) が初項 \(1\) , 公差 \(1\) の等差数列 ということですから \({S_{n}}^{2}=n\) を得ます。 今回の数列 \(\{a_{n}\}\) は正の項からなる数列で、当然その和も正となりますから \(S_{n}=\sqrt{n}\) となるため、一般項 \(a_{n}\) は \(a_{n}=\sqrt{n}-\sqrt{n-1}\) と得ることができます。 ちなみにこれは \(n=1\) のときも成立します。 \(a_{n}=\sqrt{n}-\sqrt{n-1}\) という一般項が得られているのであれば、内容としては基本的な極限計算の問題ということになります。 この極限は、手なりに $$\begin{eqnarray} と、分子の有理化をして捌くという基本中の基本問題です。(1) について
\left\{
\begin{array}{l}
a_{n}=S_{n}-S_{n-1} \ (n \geq 2) \\
a_{1}=S_{1}
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$$\(n \geq 2\) のとき
\(n=1\) のとき
(2) について
a_{n} &=& \displaystyle \frac{(\sqrt{n}-\sqrt{n-1})(\sqrt{n}+\sqrt{n-1})}{\sqrt{n}+\sqrt{n-1}} \\
&=& \displaystyle \frac{1}{\sqrt{n}+\sqrt{n-1}}
\end{eqnarray}$$